UEFAコンペティションは2節が終了。グループステージの星取表に目を通した中で、勝ち抜け予想がひと際困難なのはヨーロッパリーグのD組だろう。 昨季プレーオフを3位で終了したアンデルレヒトは、試合開始から後半立ち上がりまで計5枚のイエローカードを連発する形振り構わぬスパルタク・トルナヴァの堅守にゴールを割れず、2節もまさかの連敗。
驚くべきはUEFAランキング61位のフェネルバフチェと77位のディナモ・ザグレブ。数字以上に実力差があると思っていたが蓋を開けてみれば、4-1でザグレブの圧勝。その勢いでアンデルレヒトも飲み込んだ。
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一方フェネルバフチェは、イスタンブールでレスターから貸し出されたアルジェリア人ストライカーが連発。復調の兆しが朧気ながら見えてきたか。
あづ紗さんの手にはトルコ最大手のビールメーカー、アナドル・エフェス社のブランドとなった銘柄『ボモンティBomonti』のコースター。
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和歌山県近海でエルトゥールル号が海難事故にあった1890年。トルコ共和国(旧オスマン帝国)で初めてビールが醸造された。アドルフとウォルター・ボモンティ兄弟の名前をブランド名にした醸造所の跡地は現在、ビジネスの拠点であると同時にショッピングセンターやレストランが立ち並び、トレンディスポットとして観光客で賑わう。ボスポラス海峡の欧州側、ボモンティ地区を挟んで北にガラタサライ、南の港町ベシュクタシュがホームスタジアムを構える。
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一方イスタンブール広域市のアジア側カドゥキョイ。都内でいえば欧州側=山の手に対しと下町の関係。ダービーに異常な熱気が帯びるのも頷ける。
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筆者が最初に訪問したのは2008年の冬。安宿に泊ったが財布をスられて高くついた。そんな出来事さえ時間が過ぎれば貴重な経験と笑って話せる。
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最後に訪問したのは2015年の秋。この年の夏、IS自爆攻撃への抗議と国内侵入を許した政府批判のデモを警察が鎮圧したばかり。「テロの脅威に対する注意喚起」の文字を至るところで目にした。
その後2016年12月にヴォーダフォン・アリーナ 【22景】でも触れた爆弾テロが勃発。中心部は観光客が激減したのに対し、カドキョイ地区は然程影響なく、生活感を漂わせている。
第60景は同地区にあるフェネルバフチェの本拠地シュクリュ・サラジオウル・スタジアム
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今季ここまでフェネルバフチェは国内リーグ7試合を消化、2勝4敗1分け(10月4日時点)と冴えない。相手がガラタサライやベシュクタシュならいざ知らず、ローカルクラブに3連敗ではフィリップ・コクも頭が痛い。
顔ぶれを見ても一昔前と比べると、国際的な知名度のある選手は、元オリンピック・マルセイユコンビ、マテュー・ヴァルビュエナとアンドレ・アイェウ、DFのシュクルテル、トルナヴァ戦で2ゴールを決めたイスラム・スリマニぐらい。