オーストリア指定の医療用(FFP2)マスクをつけて夕暮れのマリア・テレジア広場散策におつきあい。気怠さとやる気のなさが写真からも漂う。
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ここにきて驚きのニュースが同国サッカー協会から発表された。
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ワールドカップ欧州予選プレーオフのメンバーから検査結果で陽性が三人も。フランコ・フォーダ監督はDFを一人減らしてFWのアンドレアス・ヴァイマン(ブリストルシティ/ ENG)を招集。
守備的MFのデヤン・リュビチッチ(1.FCケルン)とセンターバックのフィリップ・ラインハルト(フライブルグ)の代替えはどちらのポジションもこなすベテランのシュテファン・イルザンカー(フランクフルト)一人に絞ったらしい。
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イルザンカーは予選最終節のモルドバ戦でキャップ数が60に到達。2013年のザルツブルグ時代に若々しい姿を観ているがロジャー・シュミット(現PSV)監督が鍛えあげ、オーストリア史上最強と称えられた一員。
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オーストリアといえば欧州でワクチン接種をいち早く義務化。3月5日にはマスク義務化も廃止されている。先月入国の際も接種証明を見せるだけで楽々、お隣のスイスも同じく入国書類の記入もなければ映画館やレストラン、イベント施設での証明義務提示も解除されていた。
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トラムでの移動中、哀愁漂う後ろ姿の横にはマスク着用したウィーン市民。公共交通内でのマスク要は変わらず。厳格なお国柄でコロナ対策も抜かりないと思っていたのだが。それにしても外れたラインハルトとクリストファー・トリメル(ウニオン・ベルリン)、追加招集のヴァイマンにマクシミリアン・ウルマン(ヴェネツィア)と一度は緑のウェアに袖を通した選手ばかり。
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モルドバ戦で途中出場ながらゴールを決めたリュビチッチはウィーン生まれ。名前が示す通り父親はボスニア・ヘルツェゴビナ人。アカデミーからのSKラピド・ウィーン生え抜きで2歳年下の弟ロベルトも現在同クラブでプレーする。今季ドイツへ旅立った兄と入れ替わるように弟が加入。
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今季は序盤不振にあえいだラピド。その中でも輝きを放った新戦力がSVリートからフリー移籍のマルコ・グリュル。10月のデンマーク戦でA代表デビューを果たすとモルドバ戦ではPKを獲得して存在感を示した。
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第162景はラピドの本拠地アリアンツ・シュターディオン。
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以前のゲルハルト・ハナッピも素晴らしかったが、解体して同敷地内に立った新スタジアムも良い雰囲気。工事中から撮影したせいか妙に愛着を感じる。
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初めて訪問したのは完成から間もない2016年10月UEFAヨーロッパリーグのサッスオーロ戦。ピッチには降りず記者席で観戦後、最後までスタジアム内を散策していた記憶が。
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今季は元ボスニア・ヘルツェゴビナ代表スルジャン・グラホヴァツが主将マークを付け、ロベルト・リュビチッチと中盤を支えてきたが、このところスロベニア代表デヤン・ペトロヴィッチが好調で安定感が増した。
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21節WSGティロル戦の勝利でようやくトップ6入り。先制ゴールのグリュルは続くA・クラーゲンフルとの連戦も1G2Aで3連勝に貢献。
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ウィンターブレイク明けからバルセロナでラ・リーガを経験した18歳ユスフ・デミアが復帰。右に入りグリュルが左。中央にはKVメヘレンから元オランダU20代表190cmの長身フレディ・ドライフが加わり前線の駒が揃った。
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残念ながら北川航也の居場所は見つからない。先週地元メディアがシーズン終了後の”退団”を活字にしているが、夏には2016-17ラピドを指揮したダミル・カナディ(現アルタッハ)が獲得を望んでいたとのこと。
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兎に角オーストリアに限らず試合に出場できるクラブがトップリーグであれば有り難い。
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明後日はゲッサー・ピルスナーを飲みながらオーストリア代表を応援。カーディフからの映像を楽しみにしているが、その前にまずは日本代表。
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なんとオーストラリアもアーロン・ムーイとジャクソン・アーバイン、中盤のキーマン二人にロールズも感染で離脱。とはいってもウィーン出身のジェームズ・ジェゴー30歳のスタメン濃厚ならば油断できない。
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オーストリアに生まれ10歳で豪州に移住。2016年グラーツに移籍以降は欧州に定着。最大の山場を迎えたが最後の最後は経験、踏んだ場数が物を言う。【百六十二景了】
文/写真:横澤悦孝 モデル:hinako