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2014年W杯を象徴したJリーグ ~ザックの言葉~

 2014年のJリーグは、2部から昇格してきたばかりのG大阪の大逆転優勝で幕を下ろした。Jリーグは来年からプレーオフ制を導入するため、今のやり方はひとまず今季が最後となる。結果的には最終節まで優勝がもつれる形となり、リーグ的には良かったのではないかと感じている。

 しかし今季のJリーグを振り返ってみると、あらゆる点で2014W杯を戦い終えたザッケローニの言葉を思い出さずにはいられない。ザッケローニが危惧していた日本人の特性、そして日本のサッカー界がぶち当たっている壁・・・。Jリーグは日本代表の縮図でもあるのだ。

☆中間が無いサッカー

 2014W杯グループリーグ第3戦・コロンビア戦の後、ザッケローニは4年間率いてきた日本代表について総括した。
「このチームは強かったが、良い時と悪い時の波が激しすぎた。中間が無かった」、と。
 ベルギーやフランス相手に勝利した親善試合では日本代表の良い部分が発揮され、2014W杯では悪い部分ばかりが出てしまった。
 W杯のようなビッグトーナメントで勝ち上がるには、悪い試合展開をいかにして乗り切るかも重要な要素となる。W杯後に内田や本田も語っていたように、自分たちのサッカーが出来ない時こそ力を発揮できる集団にならなくてはならない。
 それはJリーグにも当てはまる。今季のチャンピオンとなったガンバ大阪は、W杯が始まる6月の時点では降格圏内の16位と低迷していた。
 ところがW杯終了後にチームは怒涛の連勝を見せ、気付けば首位に立っていた。ガンバ大阪も中間が無かったチームといえる。
 日本代表の遠藤も、なぜ自分たちが勢いに乗れたのかは分からないと語っている。後半戦のガンバ大阪は選手や監督でさえも理由が分からないほどのビッグウェーブに乗り、勢いに身を任せて国内2冠を達成した。そして来週には国内3冠をかけて天皇杯を戦う事になっている。
 降格圏内に沈んでいたチームが、まさか3冠を争うポジションにまで浮上するとは誰も想像していなかっただろう。これもザッケローニが指摘した「中間が無い日本サッカー」にズバリ当てはまる。

 良い方向だけではない。ガンバ大阪のライバルでもあるセレッソ大阪は、フォルランやカカウといったワールドクラスの選手を抱えながらもJ2へ降格した。戦力的にはG大阪を圧倒していたセレッソが、なぜ降格したのか。これも悪い流れを断ち切る事が出来ない日本サッカーの特性を象徴している。
 1度悪いサイクルにハマってしまったセレッソは、悪い流れのままシーズンを終えてしまった。黒星を重ね続けるのではなく、悪い試合展開でも引き分けにまで持ち込む事で降格は防げたはずだ。しかしセレッソは負け続けた。セレッソも中間の無いチームだった。

☆試合をコントロールする能力

 良い時の日本を出来る限り継続し、相手にペースを握られた時でも中間の力は必ず出せるようになる事。これがザッケローニが日本サッカー界へ向けて放ったメッセージだった。
 それに加えてザッケローニは、「試合をコントロールする能力」の必要性も説いてきた。
 これはザッケローニだけでなく、世界の名だたる名将たちも口を揃えて語っていた。良い時の日本代表は、世界の強豪チームでも手が付けられなくなる。その最たる例がコンフェデ2013のイタリア戦であり、序盤からフルスロットルで戦った日本にイタリアは2点を先行された。
 ところが、試合が終わってみると3-4で日本が敗れた・・・。この試合後に現ロシア代表のファビオ・カペッロ監督は、「日本は試合をコントロールする能力を身に付けなくてはならない。世界の強豪は2点のリードを易々とひっくり返されたりはしない。」と語っている。
 まさにその通りで、日本はペースが常に一定で緩急がほとんど無い。リードを守るために時間を使う事もせず、頑なに自分たちのサッカーを貫こうとする。リードを効果的に活用できていないのだ。

 これは今季のJリーグでも多く見られた。首位を快走していた浦和レッズは、勝てば優勝がほぼ確定する第33節の鳥栖戦でロスタイムに被弾してまさかのドロー。
 しかも鳥栖は1人退場者を出しており、浦和が数的優位に立っていた。そんな状況下でロスタイムに失点を喫するなど絶対にやってはいけない事だ。しかも勝てば優勝が決まる大一番だ。確実に試合をコントロールし、自分たちの手で試合を終わらせるべきだった。