ドイツ1部・ブンデスリーガは第4節までを消化。

 今季ガンバ大阪から完全移籍した日本代表FW宇佐美貴史が所属するFCアウクスブルクは、名門ヴェルダー・ブレーメンに勝利し、昨季3位フィニッシュの強豪であるバイヤー・レヴァークーゼンとのアウェイ戦でスコアレスドローを演じるなど、ここまで4試合で1勝1分2敗。小クラブとしては悪くないスタートを切っている。

 しかし、そこに宇佐美はリーグ戦4試合ですでに2回目のベンチ外となり、ここまで公式戦に出場したのは開幕戦の82分から途中出場した1度のみ。

 ただ、その兆候はプレシーズンからも見てとれていた。アウクスブルクはプレシーズンにテストマッチを7試合組んでおり、最初の5試合はトップチーム所属選手全員が前半か後半の45分どちらかに出場するような所謂“練習試合”のような様相。その中で宇佐美はアピールしきれず。より実戦形式にした最後の2試合では終盤の途中出場のみでプレシーズンを終えていたのだ。

 そして、迎えた今季最初の公式戦となるDFBポカール(ドイツカップ)1回戦・FV1893ラーベンスブルク戦。ベンチ入りしたものの、宇佐美は0-2で勝利したチームを90分間ベンチで眺めたまま終わっていたのだ。

新時代に突入したアウクスブルク

 今季からアウクスブルクは新時代に突入している。

 約4シーズンに渡って指揮を執って来たマルクス・バインツィール監督が強豪シャルケ04に移籍金を残した形で引き抜かれたのだ。

 アウクスブルクはこの41歳の青年監督の下で、初年度はカウンター1本に徹した無骨なスタイルで残留ぎりぎりの15位だったが、2年目はウイングを使ったサイド攻撃で8位へ躍進。3年目にはプレッシングとそのペース配分のためのポゼッションも取り入れて5位へ大躍進。見事にUEFAヨーロッパリーグ出場権を獲得していた。

 その知将が去ったアウクスブルクが移籍金を払って招聘したのが、昨季まで4シーズンに渡ってSVダルムシュタット98で指揮を執って来たディルク・シュスター監督。就任当時は3部リーグに属していたダルムシュタットを2年連続の昇格に導き、昨季は最下位での2部降格予想を強いられながらも、全く降格の脅威にさらされる事もなく14位でフィニッシュ。

 この功績により、シュスター監督は昨季の「ドイツ年間最優秀監督賞」を受賞。その投票では、同監督は256票を獲得。ボルシア・ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督の134票と昨季バイエルン・ミュンヘンで指揮を執ったジョゼップ・グアルディオラ氏(現・マンチェスター・シティ監督)の54票を大きく上回っての選出だった事実は、如何に高く評価されているかの証明だ。

 ただ、戦力格差を埋めるための超守備的な戦い方を志向して成功体験を掴んだ現実的な監督である。

『ドイツ最優秀監督』シュスターの現実的なスタイル

 そんなリアリストな指揮官は、開幕からここまでの公式戦5試合全てで<4-2-3-1>のシステムを採用。

 1トップには昨季後半戦からの加入ながら7得点を挙げたフィンランド代表FWアルフレッド・フィンボソンを固定。トップ下は試合展開や時間帯によっては「3人目のボランチ」としての運動量や強度の高い守備力を求めるため、韓国代表MFク・ジャチョルが定位置を確保している。

 そうなると宇佐美のポジションはウイングに限られるが、攻撃に割く人数が少ない現在のチームではウイングにロングボールを放り込むため、このポジションにもフィジカル能力が求められている。実際、1トップもこなせるパラグアイ代表FWラウル・ボバディージャや、韓国代表FWチ・ドンウォンが両ウイングで起用されているのだ。

 そんな中、リーグ第2節終了後にセットプレーのキッカーも務め、左ウイングで絶対的な地位を構築していたブラジル人MFカイウビーが年内絶望の長期離脱。それでも宇佐美は出場機会どころかベンチ外になる苦境が続いている。

 近年は1部リーグに定着しているクラブとはいえ、宇佐美選手の移籍金となる約1億8000円はアウクスブルクにとっては決して安い額ではない。クラブも覚悟の出費だったはずで、それでも起用されないのは明確な理由があるはずだ。