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マッチレポートを貫く理由

 そのロンドンナーが食い入るように読んでいたのは上記のフリーペーパーが多かったのですが、内容はやはりサッカーのページを割く割合が大きいです。日本国内唯一のサッカー新聞である「エル・ゴラッソ」よりもボリュームがあります。

見開き

 なぜなら上記のアーセナルVSリヴァプール戦の翌日の紙面には、試合詳細はもちろん、フラン・メリダの半生や契約問題、契約延長オファー、他クラブからのオファーといった事が全て網羅されていたからです。フラン・メリダは16歳の時にバルセロナの下部組織からアーセナルへ移籍したため、10代選手の移籍ルールによる倫理裁判に持ち上がっていたのもありますが、それが対戦相手がリヴァプールであったとはいえ、たった1試合のリーグカップでここまで取り上げられるのでしょうか?

 簡単に言えば今年のナビスコカップ予選リーグ第3節・サガン鳥栖VSガンバ大阪戦で、ガンバの高校生MF井手口陽介がトップチームデビューに見事勝利で応えた試合がありましたが、その試合をこのフラン・メリダのように取り上げたメディアはあったか?それどころか試合結果も載せないぐらいだったのではないでしょうか?

 地下鉄の1日乗車券を毎日のように購入していた僕の調べでは、主に「メトロ」、「ロンドン・ペーパー」、「ロンドン・ライト」という3種類のフリーペーパーがあるのですが、「メトロ」紙などはよく日本へも移籍情報などでニュースに使われる事も多いです。正直に言ってガセネタが多いですが、コレらを無料で読む事が出来るというサッカー文化は、毎日のように日本との差を生んでいると思いました。

地下鉄のフリーペーパー

ドラエモンのようなヘンリー・ウィンターさん
     暗い過去も厳しい現実も描写して未来を説く

 また、売店で売られている一般紙、僕が買ったのは「デイリー・テレグラフ」という日本で言えば日本経済新聞くらいの”高級紙”に属する新聞です。 ヘンリー・ウィンター(上記写真)という英国のカリスマ・フットボールライターの記事が好きだったので、彼が所属しているテレグラフの記事を読んだのですが、そこには“観る”試合とは別に、“読む”試合という前日に観たモノとは異なった、もう1つの試合が書かれていました。

 時に過去を探ったり、未来を予測・想像したりなど、ドラエモンがいなくてもテレグラフを読めばタイムスリップが出来ました。ヘンリー・ウィンターさんはドラエモンではないので、彼が読み手に与えるのは「どこでもドア」や机の引き出しの「タイムマシーン」ではありません。ツールは決まってサッカーの試合です。

 ある試合の、とあるプレーが過去の試合の1プレーや、その背景を引き出し、未来を想像させるのです。それが妄想や虚言だと言われないのは、読者の方々もライターに負けない膨大な知識を蓄積しているからです。そして、その膨大な知識というのは、書き手にとっても読み手にとっても、日々のこうした記事の数々を”書く”、”読む”ことから積み上げて成り立っているのです。

 サッカーというのは観るだけではない。今では結果を知りたければスマホで2秒で分かるし、速報でもスタッツやシュートまで至る過程を文字で追ってくれるツールも数多くあります。現地に脚を運べなければテレビやネットで観る事もできる。

 でも、「それだけじゃ物足りない!」

 ガンバ大阪がナビスコ・リーグ戦・天皇杯の3冠を獲って、各種特別号が出版されて現在の大阪界隈では盛り上がっています。そこには上記のような「サッカーは観るだけじゃ物足りない」という気持ちがあるはずです。しかし、残念ながらこうした特別号は“美談”でまとめた読み物でしかないため、日々の積み上げは感じられません。同様に日本の各サッカー専門誌は日常から美談に終始してクラブの機関紙のようにしか機能していないか、スポーツ紙のように根拠と努力の蓄積が感じられないモノにしかなりえません。

 ヘンリー・ウィンターさんは美談も書きますが、時には過去から暗い影や厳しい現実を掘り起こします。それを日々こなしているからこそ、妄想ではなくリアルな現実も美しく描き切れるのです。また、それが個性となり、「テレグラフ誌を買う」「サッカーダイジェストを買う」ではなく、「ヘンリー・ウィンターの記事が読みたい」となるのです。日本で「○○さんの記事が読みたい」と言えるサッカーライターって・・・あんまりいないと思います。ヘンリーさんは人気があり過ぎて、テレビのサッカー番組や中継解説にも登場しますが、そういった場所に登場する人は日本では限りなく少ないと思います。

 こうした思いの溝を埋めるために、僕は毎試合マッチレポートを継続しているつもりです。過去の試合を振り返る事も、未来を想像する事も出来るように。膨大な知識の蓄積は継続でしか賄えませんので。

日本代表の柔軟性の無さも”観て””読んで””考えた”結果

 ブラジルW杯で“史上最強”らしき日本代表は、「柔軟性がなく敗れた」、という事になっています。柔軟性とは様々な試合展開に応じて、その場その場で対応していく事で身につける事です。その経験とは選手たちが試合をする経験だけでなく、家で試合を「観る」「読む」事から、何回も“考える”ことから出来るものではないでしょうか?ましてや未来の日本代表選手にとっては特にそれが重要だと思います。

 読者の方から、「試合を観てから、貴方のレポートを読むという”もう1つの試合”をセットにして楽しんでいます。」というメッセージをいただきました。それは僕の想いが伝わった証明として大切に記憶にしまっておきたいと思います。

 そして、来月は日本代表がアジアカップを戦うので、そちらを入念に書いて行きますので、よろしくお願い致します。

 それでは皆様、良いお年をお過ごしください☆