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サンキュー、ドグ!!リバウドを想起させたドウグラスのいたサンフレッチェの1年

元ブラジル代表MFリバウドを想起させたドウグラス

 昨年のJリーグを制覇したサンフレッチェ広島。リーグ最多得点(73)・最少失点(30)を記録しながら、J1リーグが18チーム制になって以降の歴代最多勝点74という記録まで作った。

 その強いサンフレッチェを牽引したのは、高萩洋次郎(現・FCソウル/韓国)と石原直樹(現・浦和レッズ)が対談したシャドーのポジションに定着し、リーグ得点ランキング2位でチーム最多の21ゴールを記録したFWドウグラス(現・アルアイン/UAE)だった。

 そんな彼は新シーズンの始まるJリーグではプレーしない。UAEの名門であるアル・アインに完全移籍が決まったのだ。サンフレッチェへの加入はレンタル契約だったために、その保有権はサンフレッチェにはない。仕方がない。だが、優勝に大きく貢献したドウグラスの存在を忘れられるわけがない。だから、そのドウグラスがいた1年を振り返りたい。

 力強いヘディングやフィジカルを武器にしながらスピードも兼備するという既存の選手にはない特徴を持ったドウグラスは、サンフレッチェにとっての“待ち人”だった。

 彼のミドルシュートの精度やシュート力はもちろん、ミドルシュートに持ち込むフォームやそのレンジ、角度、背格好までが元ブラジル代表で2002年の日韓W杯優勝に貢献したFWリバウドに被った。そして、ゴールパフォーマンスはドウグラス本人が公言する通り、ルイス・ファビアーノ(現・天津権健/中国の元ブラジル代表FW)だ。大袈裟ではなく、彼の存在感の大きさは途中出場で2ゴールを挙げて世界3位の座を獲得したFIFAクラブW杯の3位決定戦での広州恒大(中国)戦まで異彩を放っていた。

 

『J1無得点の外国人FW』の実績ではなく適正を見抜いていた広島フロントの慧眼

 しかし、彼は2010年7月に当時J2に所属していた徳島ヴォルティスに加入してから6シーズン目になる昨季までJ1で得点を記録した事がない選手だった。それゆえ、サンフレッチェへ加入した2015年シーズンもリーグ開幕から3試合連続のベンチスタート。決して大きな期待を受けていたわけではなかった。

 徳島が悲願の四国勢クラブ初のJ1昇格を果たす2013年シーズンこそ、彼はJ2で12ゴールを挙げたが、チームでは津田知宏がエースFWとしてプレーしており、ドウグラスが絶対的なFWというわけではなかった。そして、2014年シーズンに初めてのJ1を経験したドウグラスはシーズン前半戦で先発にも定着できず、13試合の出場で無得点に終わった。そして、シーズン開幕から最下位を独走した徳島からシーズン途中にJ2・京都サンガへ期限付き移籍。戦力外扱いとなって放出されたのだ。

 京都でプレーした半年間でもJ2リーグで17試合出場5ゴールという助っ人FWにしては凡庸な成績だったドウグラスだが、彼はそこで新たなプレースタイルを体得しつつあった。「ドグ(ドウグラスの愛称)をシャドーにフィットさせた」という当時の京都・川勝良一監督はトップ下やシャドーとしてドウグラスを起用していたのだ。

 徳島では184cm80kgという屈強な身体を活かしたポストプレーヤーとして期待されていたドウグラスだったが、クロスからのヘディングシュートによる豪快な得点はあっても、前線で孤立する中で前を向くプレーや独力で打開していく迫力は持ち合わせていなかった。それを知っていた川勝監督はトップ下に適正を見出していた。そして、それは2013年の夏にも獲得オファーを出していたサンフレッチェのフロント側もチェックしていたのだ。