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宇佐美貴史が日本代表へ呼ばれない理由 ①代表運の無さ

宇佐美貴史はなぜ日本代表に呼ばれないのか?

 表題は先週号の某サッカー専門誌の特集見出しですが、ガンバ大阪FW宇佐美貴史の中学生時代から応援して来た者として、宇佐美貴史が日本代表に呼ばれない理由、または課題を挙げたいと思います。

 現在の宇佐美がドリブル・パス・シュートによる圧倒的な個人技での打開力とワールドクラスのプレーを披露している事も承知した上で、僕が考える”宇佐美が日本代表に呼ばれない理由”は大きく分けて5つあります。

宇佐美が代表に呼ばれない理由

  • ①代表運の無さ
  • ②現在のパフォーマンス(世論を味方につけるほどの結果、日本サッカー界または日本社会の土壌)
  • ③フィジカル能力の劣化

以上の3点に絞りつつ、ドイツでの2年間でのトピックや、欠点だと指摘されている守備面なども含めてポイントごとに述べていきたいと思います。

①代表運の無さ~五輪イヤーを何歳で迎えるか?

 まずは”代表運”についてですが、これについて書くには同じ1992年生まれというFW宮市亮なども合わせた”プラチナ世代”全体に通して言える事なのですが、彼等は生まれ年から五輪を迎える年に20歳であるという事。
 五輪のサッカー競技は23歳以下の選手にしか出場資格がなく、23歳以上の選手となるオーヴァ―エイジ枠は3選手までです。また、W杯などのFIFAや各国大陸協会管轄のEUROやコパ・アメリカ、ゴールドカップ、アジアカップなどと違い、登録選手は23選手ではなく18選手のみ。このいつも以上に少ない登録枠に食い込むためには複数ポジションができる選手や、リーダーシップが取れる選手というピッチ上でのプレーでの付加価値はもちろん、人間としての豊かなパ―ソナリティや人生経験値も求められると思います。その中で、五輪が行われる年を23歳で迎える選手と20歳で迎える選手とでは全く立ちふさがる壁は異なるという意味での”代表運”を宇佐美らプラチナ世代は著しく持っていない、のがまずフル代表定着に至らない最初の理由だと考えられます。

 欧州の各国は2年毎にU21欧州選手権(本大会は22歳でも参加可能)があり、この大会の予選と本大会を継続して開催されていたり、フル代表のW杯から2年後に欧州選手権(通称EURO)が開催されるために、五輪の価値や出場意義、意欲が希薄です。
 しかし、ブラジルが2012年のロンドン五輪でチアゴ・シウバとダビド・ルイスのフル代表のセンターバックコンビを、ウルグアイがディエゴ・フォルランとルイス・スアレスのフル代表2トップをオーバーエイジで招集して本気で金メダルを目指す南米勢を筆頭に、欧州以外の地域の国々にとっての五輪は大きな国際大会としての経験値、価値は相当に大きく捉えています。

 もちろん、1996年のアタランタ五輪で西野朗監督の下でブラジルを破った”マイアミの奇跡”や、ロンドン五輪でもスペインを破ってのグループリーグ突破とベスト4進出を果たしたロンドン五輪を経験した日本もこの例に取れると言えます。
 1996年のアタランタ五輪ブラジル代表には、その2年前のアメリカW杯で優勝した主力FWベベトを筆頭に、後にバルセロナへ移籍して世界最優秀に選ばれるFWロナウドとリバウドという2人もプレーしていました。2012年のロンドン五輪スペイン代表にはハビ・マルティネスやジョルディ・アルバというフル代表メンバーも出場していた中で結果を出した日本の五輪代表からはアタランタ世代からFW城彰二、MF中田英寿、服部年宏、DF松田直樹、GK川口能活、楢崎正剛といったメンバーがフル代表へ登用され、2000年のシドニー五輪のベスト8進出後はフル代表と五輪代表の監督を兼任していたフィリップ・トルシエ氏により、FW高原直泰、MF稲本潤一、明神智和、DF宮本恒靖、中田浩二といったメンバーが代表の主力へとなっていきました。

 ただし、2012年にロンドン五輪でベスト4の快挙を成し遂げた際は、関塚隆監督も招集したかったであろうMF香川真司を規定により招集できなかった事や、上記とは違ってJリーグ発足から20年が経過していて事や、若年代での海外クラブ所属選手も増えた事などから五輪への関心が問われる事も日本では大きくなってきましたが、大きな国際経験を積める大会としての認識は欧州以外の国々では変わっていないはずです。

 よって、20歳でロンドン五輪を迎えていた宇佐美にとっては、五輪代表チームで主力になるには3歳上の先輩を2歳年上のFW大津祐樹、3歳年上のFW永井謙佑を上回るにはサッカー選手としての能力もさることながら、人生経験としての20歳と22,23歳の選手としての差は大きかったのではないか?というのが僕の考えです。当時はバイエルン・ミュンヘンの選手としてシーズンを終えた直後だった宇佐美にとっては、ワールドクラスの選手との練習や世界最高峰の施設でのトレーニングよりも、試合勘の方が大事だったとも言えるかもしれません。

 そして、もし来年に五輪が開催されるとしたら、23歳で迎える現在の宇佐美なら迷う事なくエースとして彼中心のチーム作りがなされるであろう事を想像するのは容易ですよね?それが何よりの証明です。それで言うと、19歳でアタランタ五輪を経験し、23歳のシドニーで2度目の五輪を経験した中田英寿は代表運を持っているのかもしれませんね。

代表と所属クラブの低迷からカウンター志向に舵を切る~ガンバ大阪・ACミランでの遠藤と本田

 また、現在のハビエル・アギーレ監督が指揮官自身の哲学や、ブラジルW杯での日本代表の惨敗もあって、カウンター志向の柔軟性のあるチーム作りをしている事に合わせて、MF遠藤保仁が所属するガンバ大阪は2012年のJ2降格を経て長谷川健太監督の下で、現在のアギーレジャパンに似たアプローチをしている事。MF本田圭佑もまた、所属するACミランが16年ぶりに欧州の大会に参加できなる極度の不振と財政難から、これまたカウンター志向のチームへの転換と、本田自身も4-3-3の右ウイングという日本代表と全く同じようなシステムとポジションと役割を担っている、という事は、彼等には”代表運”があると言えるのでしょう。
という事で、現在の参考例が出たところで、次の項で現在の宇佐美のパフォーマンスについて述べたいと思います。