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なでしこJAPANの準決勝までを総括

世代交代が進まない前回女王・なでしこJAPAN

 4年前のドイツ大会、大会3カ月前に東日本大震災という未曾有の災害に襲われた日本列島に勇気を与えた初優勝を成し遂げた、なでしこJAPAN。1年後のロンドン五輪でも銀メダルを獲得し、日本の女子サッカーに黄金時代が到来しました。

 しかし、そのロンドン五輪以降の3年間、続投した佐々木則夫監督の下で様々なテストを繰り返し、下部年代の代表チームも2014年に17歳以下の日本代表が世界女王に輝くなど実績を上げた年代があり、その上の年代でもFW京川舞やMF猶本光、仲田歩夢など個人として期待させる逸材もいたものの世代交代が全く進まず。

 結局、今大会の登録メンバー23選手中、前回大会のメンバーが17選手という7割以上を占めています。前回大会は登録メンバーが21選手だったので、外れたのは引退したGK山郷のぞみ、DF矢野喬子という“元選手”になった2人に、今大会直前の負傷で招集外となったFW高瀬愛実、負傷が多くなった人気者のベテランFW丸山桂里奈の4選手のみで、世代交代が一向に進まない事は深刻でした。

 W杯イヤーとなる今年になっても若手が全く台頭せず。3月に行われたW杯の前哨戦と言えるアルガルベカップでW杯本大会へ向けて最後に試したい選手をテストしたものの、9位惨敗に終わってしまい強化はとん挫。

 ただ、最終的に本大会直前に代表から1年間外れていた大ベテランMF澤穂希を復帰させた事で雰囲気が一変。攻撃の軸でもあるキャプテンのMF宮間あやの負担がとれ、ピッチ上で自分のプレーにかける比重が上がった事で攻撃に幅が生まれました。また、澤がボランチに入ってセンターラインが強化。フィジカルの強い左利きの守備的MF宇津木瑠美を左SBに回して、コンディションが上がらない左SB鮫島彩を攻撃に専念させるために1列目上げて使う起用法など、攻守にチームのバリエーションが一気に拡がった状態で本大会を迎える事が出来ました。

大会を通して新たなコンセプトを確立~大野の前線起用、主力に割って入った宇津木と有吉

 迎えた本大会。前回女王の日本は組み合わせにも恵まれ、日本が入ったグループCには日本以外はW杯初出場となる3カ国が揃う事に。FIFAランキングでも4位の日本に対して最高位のスイスでも19位、カメルーンは53位、エクアドルは48位という力の差。佐々木監督はグループリーグの3試合を通して結果を求めると共に、23人の登録メンバーを全員起用する大胆な選手起用で新たなチームのベースの確立とコンディション調整を断行。

 初戦のスイス戦ではFW安藤梢が負傷と引き換えにPKを獲得。宮間が決めたこの1点を守り切って1-0の辛勝。

 第2戦のカメルーンでは理想的なサイド攻撃からの崩しで2点先行するも、90分間でシュートが僅か3本。カメルーンに終盤に1点を返されてのヒヤヒヤの勝利でした。

 第3戦はスイスに10-0で敗れていたエクアドル相手に1-0の辛勝。

 力の差がある相手とはいえ、不安定な試合運びを見せる試合が続きましたが、この3試合を通して佐々木監督はベストメンバーを選定した上で、新たな基本コンセプトも構築。全選手をピッチに立たせた事でベンチメンバーも臨戦態勢が整った状態で決勝トーナメントに挑む事が出来ました。

 決勝トーナメント1回戦は、FIFAランク12位のオランダ相手に攻撃的SB有吉佐織がその真骨頂を見せる得点、“なでしこらしい”パスワークから奪った阪口夢穂の華麗なミドルシュートで勝利(2-1)して準々決勝進出。準々決勝ではFIFAランク10位の豪州に対して主導権を握りながら決定機を決めきれない展開となったものの、試合終了間際にセットプレーの流れから途中出場のFW岩渕真奈が決勝点で準決勝進出(1-0)。