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湘南が強豪・鹿島相手にJ1復帰後初勝利 ジャイアントキリングの手法に乗っ取った勝利

 明治安田生命J1リーグ第1ステージの第2節。昨季J2リーグを勝点100越えの独走優勝を果たした湘南ベルマーレが、昨季J1リーグ3位で国内タイトル最多獲得クラブでもある名門・鹿島アントラーズに敵地・鹿島スタジアムで痛快な逆転によるJ1復帰後初勝利を挙げました。

 試合の方は開始早々から豊富な運動量を活かした“湘南スタイル”によるプレッシングで良い入り方をした湘南でしたが、徐々にプレスに慣れた鹿島が主導権を握る時間が続き、13分に新加入FW高崎寛之のゴール前へのパスに走り込んだ日本代表MF柴崎岳の絶妙なスルーから新加入の元日本代表MF金崎夢生が流し込んだ華麗なゴールにより、湘南は先制点を奪われました。

 しかし、後半開始から攻撃的MF大竹洋平を投入して前に出る意識を出した湘南は54分、右サイドからのアーリークロスを逆サイドのぺナルティエリア内で競った鹿島の元日本代表MF小笠原満男がボールを見ないまま湘南MF菊池大介を倒すというベテラン選手としては理解に苦しむファウルからPKを奪取。コレをガンバ大阪の日本代表MF遠藤保仁以上に“PKキッカー”として有名なU22代表の主将DF遠藤航が豪快に決めて1-1の同点に。

 すると、後半から湘南の前への圧力に対して、リードを守るように後手にまわっていた鹿島も同点になってからは前半のように積極的に主導権を握って攻撃を仕掛けるようになリ、試合はテンポの速い好ゲームに。湘南は後半開始から投入されたファンタジスタタイプの大竹が<3-4-2-1>システムの2列目に入っており、もともと左ウイングバックで先発している菊池大介もドリブル突破が得意な攻撃型。右ウイングバックにも後半からは本来は2列目が定位置のMF高山薫が回っており、前輪駆動型の布陣になっていました。鹿島はそこを突いて両サイドを突破口にリズムを作り、MF遠藤康がゴールポストやバーを直撃するシュートや、それにFW高崎が詰めるような決定的なチャンスを作って鹿島が押し切るかに見て取れました。

 しかし、湘南は決して相手に主導権を渡したとしても最終ラインを引き過ぎたりはせず、もしラインが下がったとしても最前線との距離を詰めてコンパクトな陣形を維持してボールサイドに人数をかけて挑みました。加えて、曺 貴裁(チョウ・キジェ)監督が前述の後半開始からMF大竹の投入により攻勢に出て、同点になって鹿島に決定機を作られるようになってからは、ワントップのFWブルーノ・セーザルに替えて、アンカーにMFキム・ジョンピルを投入して守備のバランスを調整しつつ、83分にはワントップに期待の19歳の新外国人FWアリソンを投入するという的確な采配を披露。結果的にキム・ジュンピルの投入により守備の落ち着きを取り戻した湘南は91分、高山が上手くタメを作って右サイドで攻撃を作り、戻したボールを遠藤がダイレクトで中央へ絶妙なクロス。ゴールからはやや離れていたものの、相手DFのマークを外して入ってきたFWアリソンが強力なヘッドを決めて1-2と湘南が後半追加タイムに逆転。直後にゴールを挙げたアリソンが出場10分足らずで2枚目の警告による退場処分になったものの、残り少ない時間も守り切った湘南が名門・鹿島を相手に敵地で貴重な逆転勝利となりました。

 試合内容では確かに鹿島が主導権を握り続けた試合でしたが、選手個々の能力で上回る鹿島に対して、湘南は引くだけではなく、人数をかけて全員攻撃・全員守備からの素早い攻守の切り替えを徹底するという戦い方は、まさにジャイアントキリングの手法のお手本に乗っ取った素晴らしい勝ち方でした。鹿島がアジアカップに招集された日本代表の昌子源、植田直通という両センターバックが欠場したり、そもそも鹿島がこれで公式戦4戦全敗という不調、という事もありますが、湘南の戦いぶりは称賛されてしかるべきでしょう。

ザッケローニ監督が指揮したウディネーゼを想起させる”湘南スタイル”

 特に試合を観ていた僕には、この日の湘南がアルベルト・ザッケローニ元日本代表監督が率いていた当時、イタリア1部リーグで地方クラブであるウディネーゼがリーグ3位に入った1997~1998年頃のあのチームを思い出しました。

 翌年にACミランへ引き抜かれるザッケローニの代名詞となる<3-4-3>で有名になったこの時代のウディネーゼですが、ワントップにはこのシーズンに得点王となるドイツ代表FWオリバー・ビアホフ(現ドイツ代表マネージャー)という長身FWがおり、イタリア人FWパオロ・ポッジやヴェルディ川崎のトップチームでは1試合も出場機会がなかったブラジル代表FWマルシオ・アモローゾ、イタリア代表のMFトマス・ロカテッリが担い、右ウイングバックにはビアホフへのクロス供給で名を上げたデンマーク代表のトーマス・ヘルべグ、左ウイングバックには豊富な運動量で何度もアップダウン可能で、突破力に秀でたイタリア代表のジョナサン・バキーニが務めていました。

 ザッケローニ監督がACミランへ引き抜かれた時、ビアホフとヘルべグも一緒にミランへ移籍。ザッケローニ監督が就任前の2年間は11、10位という2年連続2桁順位に終わる極度の低迷ぶりでしたが、このウディネーゼの3人が加入した初年度にリーグ優勝を果たしています。その年、ビアホフがいなくなったウディネーゼからアモローゾがリーグ得点王に輝くという事も含めて、いかに当時のウディネーゼが凄かったかを物語っています。

 そんなウディネーゼと今の湘南ベルマーレはシステムの使い方や、選手個々のプレースタイル、コンビネーションの組み合わせなどが非常に似ていると思いました。具体的には、左ウイングバックの菊池大介はバキー二のような疾風のごときスピード溢れるドリブル小僧で、共に得点力まで兼備。2列目で変化をつける大竹はロカテッリで、岡田翔平や大槻周平はポッジ。藤田征也や古林将太というクロスに特徴のある選手が担う右ウイングバックはヘルべグに似ているように見えます。

 確かに湘南にはイタリア1部リーグで得点王になったビアホフやアモローゾもいないし、J1で得点王にもなれるポテンシャルがあったFWウェリントンすらキープできずに退団してしまう戦力しかいません。しかし、湘南はそのマイナス部分を、左センターバックに入る三竿雄斗が昨季J2リーグで2桁アシストを誇り、右センターバックの遠藤はすでに今季2得点で、昨季も7得点を挙げるなど得点直結の攻撃力を兼備。遠藤はU22代表では主将を担い、ボランチとしてチームを引っ張っています。この2人が“湘南スタイル”を象徴しているとも言えるぐらいに、決定力のあるFWの不足を補っています。

 この日初先発に抜擢された新加入FWブルーノ・セーザル、決勝点を挙げたFWアリソンという両ブラジル人FWは、足してもウェリントンに劣るかもしれませんが、前者はボールを収める能力、後者は決定力で光るモノを披露してくれています。同時先発起用はない、というより敢えてしない方がゲームプランを遂行しやすいかもしれない。2人で1人分かもしれませんが、今まではウェリントンに頼っていた部分を日本人が責任を追う割合を増やしつつ、この新加入ブラジル人FW2人の持ち味をこの日のように時間帯ごとに使い分けられれば、湘南はJ1でも旋風を巻き起こせるでしょう。采配力に長けた熱血漢の指揮官もいますし。

 最後に、湘南の主将MF永木亮太は、ザッケローニ時代ではありませんが、あの当時の2000年前後にウディネーゼで活躍し、イタリア代表としてEURO2000準優勝を果たしたMFステファノ・フィオ―レに似ていると思いました。セットプレーを蹴れる司令塔でありながら、誰よりもブルドーザーのように走れる“想像力”というよりも、“創造力”の持ち主であると。

 やはり、現在の湘南ベルマーレはザッケローニ監督時代のウディネーゼに似ていますね。なんで1人も日本代表に招集すらされなかったのか?そもそも「ザッケローニの3-4-3は古い」とか言ったり、「システム的にモノにする利点がない」とか言って選手もメディアもサポーターも拒否反応を起こしたからか?ブラジルW杯で躍進したコスタリカやメキシコ、オランダも含めて、このシステムで成功したチームが多かったのに・・・・。

By | 2015-03-21T13:00:57+00:00 3月 21st, 2015|Categories: J1リーグ観戦記, 観戦記|Tags: , |0 Comments

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hirobrown
創設当初からのJリ−グファンで各種媒体に寄稿する副業サッカーライター。好きなクラブはアーセナル。宇佐美貴史やエジル、杉田亜未など絶滅危惧種となったファンタジスタを愛する。趣味の音楽は演奏も好きだが、CD500枚ほど所持するコレクターでもある。 サッカー歴:中学・高校時代にサッカー部に所属。 中学時は大阪市トレセンに選出される。 その後は競技者としてのサッカーから離れていたが、サッカー観戦は欠かさない 。

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