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開幕10試合9得点の広島FWピーター・ウタカ〜相思相愛の広島加入から得点を量産する異能のアタッカーの新境地

 ただスピードもあるとはいえ、32歳となったウタカは1試合の中で全力疾走する事は少ない。逆に連動したパスワークに入ってアシストやお膳立てをする巧さが光る。もちろん、彼には北京国安時代に魅せた華麗なポストプレーという最前線で活きる武器があり、それが昨年末のFIFAクラブW杯でブレイクしたMF茶島雄介の今季のJ1リーグでのブレイクにも繋がっているとも言える。

 おそらく彼は広島でシャドーを務めたFW李忠成(現・浦和レッズ)とMF高萩洋次郎(現・FCソウル)の2人分の能力を持っているように見える。ここ数年、広島の<3-4-2-1>システムの「2」に当たるシャドーにはFW的要素を持つ選手とゲームメイクのできる選手の組み合わせが収まって来た。李&高萩、石原直樹&高萩、ドウグラス&柴崎晃誠だ。その2人分の能力を持っているウタカの適正ポジションはどこなのか?

 現在は1トップで定着しているとはいえ、これはU23日本代表FW浅野拓磨の負傷離脱が大きい。実際、ウタカがJ1リーグで1トップで先発したのは浅野が前日練習で負傷した第5節のベガルタ仙台戦からだ。そこから6試合の出場で7ゴールを挙げているから、「1トップ=ウタカ」が定着し、今月からリオ五輪代表の活動が本格的になるタイミングもあるので、今後もしばらくウタカは1トップで起用されるだろう。

 だが、ウタカにはアーセナルやオランダ代表のFWデニス・ベルカンプのようなセカンドトップこそが最敵だと筆者には見える。セカンドトップとシャドーでは役割や守備への負担度は全く違うのだが、ベルカンプもアーセナルでアーセン・ヴェンゲル監督と出会うまでは名門アヤックスの出身らしいインテリジェンス(知性)とテクニックは披露しつつも、スピードや身体能力で勝負していた点取り屋のFWだった。オランダ代表では絶対的なエースだった。それがイタリアでは通じなかった理由だろう。しかし、年齢的な部分や、当時のアーセナルに所属していた二コラ・アネルカやティエリー・アンリのようなスピードや個人技に長けたFWを活かすためにもセカンドトップとして新境地を切り開いたのだ。

 ベルカンプもウタカも1トップとして君臨する屈強なフィジカルやスピードも持ち合わせているが、ベルカンプがアーセナルではアンリを、オランダ代表ではパトリック・クライファートのような相棒のストライカーを最大限に活かしたように、ウタカにも浅野や佐藤寿人、皆川祐介のようなFWを活かしてもらいたいのだ。チームとしてより大きく成長するためには、「シャドー=ウタカ」も一考だろう。実際、森保監督もウタカが2得点して9点目を挙げた前節・サガン鳥栖戦後の会見でもそう話してもいた。

 “最強助っ人”と言われたドウグラスを上回るペースで得点を量産しながら、得点以上に多彩なプレーにも注目を集めるウタカ。最強を越える異能のアタッカーに注目だ。