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もがき苦しむ日本のジーニアス ~大切なのは「勢い」~

「ジーニアス」英語で天才という意味だが、幼い頃からそう呼ばれていた選手がいる。スイス1部リーグバーゼル所属のFW柿谷曜一郎だ。若くから天才と呼ばれすぎたがゆえの挫折などもあって活躍の時期は遅れたが、才能は日本でも随一。

世界でも必ず通用する選手と考えられていた。そして24歳の夏、柿谷は満を持して海外へ飛び立った。興味深かったのは、柿谷が選んだリーグがスイスだった事だ。清武や乾などセレッソからブンデスリーガへ移籍した日本人選手が多い中、なぜか柿谷は少しレベルの落ちるスイスを新天地に選んだ。
「セレッソのヤツらと一緒の道を辿りたくなかった」と柿谷は 冗談交じりに話しているが、恐らくはスタメンを確保しやすいレベルのチームを選んだのだろう。天才にしては慎重な考え方だが、彼は過去の経験から慎重に物事を判断するようになったのだろう。
ところが、安泰の地であったはずのスイスで思わぬベンチ生活を強いられている。そこに待っていたのは柿谷と同じようにバーゼルを踏み台にビッグクラブを狙う若武者たちとの熾烈なスタメン争いだった。

☆7歳年下にスタメンを譲る現状 ~昔と今~

先日おこなわれたレアル・マドリーとのCLグループステージ第5戦。グループ2位として決勝トーナメント進出のチャンスがあるバーゼルは、ホームでレアル相手に真っ向勝負を挑んだ。2日前におこなわれた国内リーグではスタメン出場し た柿谷だが、この日はベンチスタート。
スタメンの3トップには20歳のデルリス・ゴンザレス、26歳のシュケルゼン・ガシ、そして17歳のブリール・エンボロが入った。3人とも柿谷と同じく今夏にバーゼルへと移籍してきた選手である。
ゴンザレスはスピードがあり、サイドからのドリブル突破が持ち味だ。得点力もあり、現在バーゼルの攻撃を牽引する存在となっている。ガシはテクニシャンで、高精度なパスなどアシスト面でチームに貢献する。エンボロは体も強く、意外性のあるトリックプレーなどを得意とする。
彼らには勢いがあり、何か起こしてくれそうな雰囲気もある。

ただ、ゴンザレスやエンボロは若さゆえのムラがある。エンボロの意外性あるプレーは時に相手を翻弄し 、レアルのDFセルヒオ・ラモスの股間を抜く場面もあった。それがチャンスに繋がれば良いが、時には確実なプレーに徹する必要もある。その部分を理解できないのが若さというものだが・・・。
さらに仲間意識に欠ける部分がある。将来はバルサでプレーすることが夢と語るエンボロは、ゴールなどで自身をアピールすることに必死だ。それはゴンザレスや、レアル戦で途中から出場した24歳のアフメド・ハムディも同じだ。
自己アピールの精神が勢いへと繋がり、チームパフォーマンスが向上する事もある。しかし、アピールに必死になりすぎるあまりに決定機を逃す場面も多い。味方にパスを出していれば確実に1点だったというシーンも多くあるという訳だ。

この精神は、若かりし頃の 柿谷と被るものがある。昔は自分だけ楽しければそれで良いというスタンスでサッカーをしていた柿谷は、ゴールやドリブル突破など個人技で周囲を圧倒してきた。しかし、チームを顧みない姿勢が和を乱したと判断されてセレッソを追放された過去を持つ。
それ以降、柿谷はしきりに「個人よりもチームの勝利」を優先する選手になった。それが実を結んだからこそ、セレッソでの爆発や日本代表選出へと繋がったのだろう。しかし、バーゼルでも日本代表でもFWとしてはプレーが消極的すぎる部分もある。
柿谷は技術レベルこそ高いものの、過去の教訓からシンプルに少ないタッチで味方にパスを散らすプレースタイルを取る。彼のゴールの多くは裏へ抜け出してからのダイレクトプレーであり、あまり ドリブルで2,3人をかわしてのゴールなどは見た事がない。
恐らく柿谷の中で、2,3人の相手にドリブルを仕掛けてボールを奪われれば、チームのピンチに繋がるという考えがあるのだろう。確かにセオリーでは数的不利の状況をドリブルで強引に打開すべきではない。しかしその考えはFWらしくないとも取れる。