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男子東アジア杯第2戦、日本VS韓国 ~アジア相手の弱者のサッカーは受け入れるべきか否か?

アジア相手に『弱者のサッカー』はアリか?ナシか?

【男子・東アジアカップ第2戦】
日本1-1韓国

得点者
<日本>山口(39分)
<韓国>チャン・ヒョンス(27分、PK)

 海外クラブ所属選手の招集に拘束力がない今大会はJリーグに所属する選手のみから選考された日本代表というよりも、“Jリーグ選抜”が実態。それも3日前の水曜日にJ1リーグが開催されており、選手たちは木曜日に日本の各地から直接中国に移動して集合するというピッチ内外での過密日程。

 ただ、2年前も優勝を決めた最終戦の韓国戦でも後半追加タイムに柿谷曜一郎(現・バーゼル/スイス)が決めたシュートが後半最初のシュートで90分通して3本目という防戦一方の末に手にしたという試合内容には乏しかったのが事実。山口蛍が大会MVP、柿谷が得点王を獲得したとはいえ、その大会でも練習時間がほとんどなく、代表経験の浅い”Jリーグ選抜”であったため、チーム戦術や連携というよりも、選手個々の技術・メンタル・個性が試された末の優勝でした。

 そんな中で迎えた今大会の初戦・北朝鮮の先発メンバーには、DF槙野智章やFW宇佐美貴史といったヴァヒド・ハリルホジッチ監督の就任後は出番の多くなった選手を中心に構成された上で、右SBに遠藤航、トップ下に武藤雄樹というデビュー戦を迎える選手が入ってスタートし、開始3分で、この”じゃない方コンビ”の遠藤のクロスに武藤が合わせて先制したものの、監督の要求する「縦に速い攻撃」を優先した結果に追加点を奪えないままにガス欠を起こし、後半は防戦一方。終盤に単純なロングボールの放りこみから2失点しての逆転負けを喫し、指揮官は「これが日本サッカー界の現実」と日本サッカー界を痛烈に批判しました。

 そのFIFAランク129位の格下相手の敗戦から中2日で迎えたこの日の先発メンバーは初戦から5人を変更。守備陣は左SBに怪我上がりの太田宏介が入った以外は変化なし。前線は疲労が窺える選手が多い事もあり、右サイドの永井謙佑以外は変更という攻守の起用法で対照的な選択があったメンバー選考。特徴としては所属するサガン鳥栖でもユン・ジョンファン元監督の下で走力や球際の強さを鍛えられて遂に代表デビューを迎えるMF藤田直之をアンカーとして起用している事。その役割はハビエル・アギーレ監督体制下の長谷部誠のようなパスワークの起点や攻守の要の役割ではなく、2010年の南アフリカW杯直前からアンカーを託され、守備専任のMFとしてプレーした阿部勇樹の役割そのもの。左サイドMFでも攻守にハードワークできる倉田秋が代表デビュー。相手の方が強いと見越しての守備重視のイレブンが組まれた模様。テレビ中継では<4-2-3-1>と紹介されていましたが、明らかに<4-1-4-1>と言える布陣でスタートしました。

北朝鮮戦の敗戦が「日本サッカーの現実」から韓国相手には『弱者のサッカー』を選択した迷将

 試合の方は予想通り、日本は自陣深くにDFとMFの2ラインが守備ブロックを形成して完全に韓国を格上と見て相手の攻撃を受ける「弱者のサッカー」を選択していた事が明らかで、CBコンビは何度も自陣ぺナルティエリアにまで簡単にポジションを下げていました。ただ、しっかりと引いた守備は、CBの槙野が韓国の196cmという高さを誇る長身FWキム・シンウクを封じ切る姿に代表されるように効果はありました。

 ただし、韓国の攻撃を跳ね返したり、ボールを奪っても、回復地点が深すぎて日本の攻撃は全く形にならず。自陣を出る事も難しいほどに押し込まれました。悪い事に、「縦へ速い攻撃」を要求する監督が「自分達の時間を作る」事を容認した姿勢は、この試合では自陣に釘付けにされるという逆効果にしかなりませんでした。こういう押し込まれた時こそ、裏のスペースへダイナミックに蹴り込んで永井の圧巻のスピードを活かすべく「縦への速い攻撃」を要求すべきなのに、短いパスが多く、なかなかゴール前まで持ち運べず。

 両チーム共に静かな立ち上がりの試合でしたが、試合の主導権を握っていた韓国は20分過ぎからヴィッセル神戸でプレーするMFチョン・ウヨンを軸に徐々にフィニッシュに絡む攻撃を仕掛け始め、彼やキム・シンウクがシュートを放ってゴールに迫り始めました。

 すると25分、韓国の右サイドからのクロスに対して、ニアでキム・ミヌが競ったボールが森重の左手に当たった場所はぺナルティエリア内。PKを献上し、キッカーのチャン・ヒョンスが冷静に決めて韓国が先制。その後もチョン・ウヨンがFKやミドルシュートを狙うピンチが続き、耐えるだけの日本は反撃の機会すら与えてもらえない厳しい状況。

 しかし、39分。ゴールから遠い位置でのFKをクイックでリスタートし、槙野が思い切ってロングシュートを狙うと、相手DFのブロックに遭ってこぼれたボールを左サイドで倉田が拾ってミドルゾーンで繋ぎ、ぺナルティアーク付近の山口へ横パス。山口がダイレクトで右足を一閃した強烈なミドルシュートがゴールに突き刺さって1-1の同点にして前半を終了。代表キャップ19試合目にして初ゴールとなった山口のゴラッソは、日本のこの日の正式な初シュートにして前半唯一のシュート。前半を1-1の同点で折り返したのは望外と言えるほどの内容の乏しさでした。

親善大会で「弱者のサッカー」を選択し、テストも出来ない『観るに値しない試合』に