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長靴の国で観た異邦人たち 二十の巻【英国からの大移動と、トリノにやってきたポーリッシュ】

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十五の巻でルーマニアからの移民が多い割にプレーヤーが少ない気がすると述べた。
それに比べて腹落ちするのはポーランド人。
ユーロ2016フランス大会ではベスト8と健闘したポーランド代表。

先にふれた同じベスト8のアイスランドや、ベスト16でもハンガリーの健闘はサプライズと言えるが、ポーランドの8強入りに驚倒するのは如何なものか。各選手の所属クラブはバイエルンやドルトムント、更にヨーロッパリーグを制したセヴィージャ、そしてイタリアの6クラブの名前も。

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ポーランド人はスラブ系民族といっても2012年ユーロ共催国のウクライナなど旧ソ連邦各国やブルガリアとは文化面において大きな隔たりがある。敬虔なカトリック教徒が国民の九割を占め、1978年、クラクフの司教カロル・ボイティワがローマ法王に選ばれたのを機にイタリア(ヴァチカン市国)とポーランドの距離が縮まっている。

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昨年5月29日の日付が読み取れるキルチェでのエクストラクラサ観戦。アウェーのGKSピアスト・グリヴィツェは、カミル・ウィルチェクのワントップ。シーズン20ゴールを挙げ得点王に輝いたストライカーは、何処か痛めたようで後半開始早々ベンチに下がった。

その三か月後、8月30日FCカルピのホーム開幕戦 スタディオ・サンドロ・カバッシには15000人の観衆が詰めかけた。相手はインテルナツィオナーレ・ミラノ。グリヴィツェで背負っていた10番の違和感に比べるとイタリアで貰った9はしっくり馴染んでいるようで、クラブからの大きな期待も感じられる番号である。
前半1-0で折り返したインテルは後半残り10分、長友が途中出場した直後にまさかの同点ゴールを奪われる。からくもロスタイムのゴールで勝ち点3を獲得したが、カルピの善戦を称えるべき試合。残念ながら1シーズンでカルピは降格。ウィルチェクもデンマークのブロンビーへと移籍した。

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ユーロでも守備面では欧州トップクラスであることを証明したがゴールキーパーは逸材が揃う。同大会ではスウォンジーのファビアンスキが負傷離脱した為ボイチェフ・シュチェスニーが代役を務めたが、アーセナル復帰が有力とされたシュチェスニーはローマに残留。またウカシュ・スコルプスキもエンポリでレギュラーの座を掴んでいる。

そしてポーランド次世代の守護神バルトウォミェイ・ドロンゴフスキが今季ヤギエロニア・ビャウィストクからフィオレンティーナへと移籍を決意。父親は元ポーランド代表で血統は折り紙つき。17歳でエクストラクラサの最優秀ゴールキーパーに選ばれた時から西欧メジャー各国のスカウトから注目されていたが、花の都フィレンツェに。

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ユニークなところではブラジル出身のチアゴ・ランジェウ・チョネク。ポルトガルを経てイタリアで複数のクラブのテストを受けた後、2008年からヤギエロニア・ビャウィストクでプレーしており当時ポーランド国籍を取得しているのだが、その名が示す通り彼の祖父母は第一次大戦中に戦火を避けブラジルまで移住したポーランド人である。
2012年バドバ→モデナとセリエBでイタリアでの生活に慣れ、今年からパレルモでプレーする。30歳を超えるが円熟の域に入った現在がキャリアのピークにも見える。

新顔ではアヤックスからナポリに移籍したミリクに注目が集まるのは致し方ないとして、やや渋めの新星がサンプドリアに加入した。カロル・リネッティは1995年2月生まれ。10代でポツナムの国内制覇に貢献、昨季はチャンピオンズリーグ予選3回戦でバーゼルに敗れたものの、ヨーロッパリーグではグループステージに進出。再びバーゼル、そしてフィオレンティーナン戦にも出場するなど、代表も含め国際経験は豊富。今季のサンプドリアはU21ポルトガル主将のブルーノ・フェルナンデス、ペスカラに移籍していた20歳のウルグアイ人ルーカス・トライッラ、そしてアンデルレヒトからデニス・プラエトも2015年ゴールデンブーツ(ベルギー国内最優秀選手)の勲章を土産にイタリア入り。各国の有望株が揃う中、リネッティはエンポリ戦(写真)こそ三列目の中央に位置したが二戦目以降は右ハーフにどっしり定着。スピードと左右両足を駆使した技術、センスに加え運動量=守備での貢献も含め安定感に勝るリネッティがプラエトをベンチに追いやった恰好に。

昨年ユーロ2016大会終了後、ロンドンを中心にポーランド人へのヘイトスピーチが社会問題として取り上げられたが国民投票でEU離脱支持が多数を占めた背景には東欧系移民への強い不満があったと聞く。ロンドン市内にも多くのポーランド人街形成されていたのだが、離脱決定以降ポーランドへの大移動が始まった。

11月のW杯予選ルーマニア戦。リネッティがスタメン出場したこの試合に招集された国外組はリーグアンから5人、セリエAから4人、英国もスウォンジーを含め4人、ブンデスリーガから3人と均衡が取れている。次世代はポーランド系プレミアリーガー続出かと思われたがEU離脱で杞憂に終わりそうである。

About the Author:

Yoshitaka Yokozawa
1964年生 / 東京都在住 NPO・NGOの経験を活かしてサッカルチャー・チャアマンをしてます。 本業は国際交流コンサルタント。文化催事の企画運営や講演など欧州と国内をころげまわってます。 サッカルチャーコラム連載では欧州蹴球文化探訪(全41回) 同ベルギーの光と闇(全27回)※最終話そのうちUPします。 長靴の国で観た異邦人たち(全21話) サッカルチャー・ホームタウン秘書室(2017年~ 同 日本人が知らないアーセナル 全8回含)他。 サッカルチャーやっててよかったのはバルセロナで故ヨハン・クライフに逢えたこと。世界各国の”秘書たち”とビールを飲むのもささやかな楽しみ。

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