レスター、トッテナムの首位争い、昇格組のボーンマスの躍進

 イングランド・プレミアリーグで日本代表FW岡崎慎司が所属するレスター・シティが望外の首位を走っている。トッテナム・ホットスパーが毎試合のように20本以上のシュートを放ち、試合内容で圧倒しながら2位と大躍進を見せている。

 そのため、あまりにスポットライトが当たらない躍進クラブもある。特に今季のプレミア昇格組のボーンマスとワトフォードは早々と残留が決まりそうな成績を収めているのは、快挙だ。実際、1年前の昇格組だったレスターはリーグ29試合を経過した時点では勝点が19だった。それに比べてボーンマスは30試合で38ポイント、ワトフォードは37ポイントを稼いでいる。レスターがその1年後の現在、29試合で60ポイントと3倍以上の勝点を奪って首位を走っている事を考えれば、この2クラブの1年後に大きな期待を持つのも楽しみだと言える。

 プレミア初昇格のボーンマスは昨季2部のチャンピオンシップで優勝。30代ながら足掛け7年目の長期指揮を続けているエディ・ハウ監督が昨季のイングランド最優秀監督賞を受賞した事でも有名だ。最終ラインからパスを繋ぎ、前線からプレスを連動させて試合の主導権を握る積極的なスタイルはプレミアでも十分に通じている。2011年にプレミア初昇格後に定着しているスウォンジー・シティにも似ている。牧歌的な香りが漂う、11464人の本境地=ヴァイタリティー・スタジアムも良い雰囲気だ。

FA杯3連覇を目指すアーセナルを破った”お隣さん”ワトフォード

 そして、2012年にイタリア1部リーグのウディネーゼのオーナーでもあるジャンパオロ・ポッツォに買収されたワトフォードもまた魅力的なクラブだ。

 先週末、そのワトフォードはFAカップ6回戦で、1884~1886年のブラックバーン・ローヴァーズ以来となるFAカップ3連覇を目指すアーセナルにアウェイで1-2と競り勝って準決勝進出を決めた。プレミアリーグの残留もほぼ決まり、聖地・ウェンブリーで正装したキケ監督と国際色豊かな選手達で編成されたクラブが“何か”を起こすかもしれない。

 アーセナルファンの筆者としては非常に悔しい。ワトフォードの練習場は以前アーセナルが借りていたロンドン大学のグラウンドを借り受けているクラブだ。

 アーセナルは1999年にフランス代表FWニコラ・アネルカをレアル・マドリーへ50億円近い移籍金で売却したのだが、その収入の半額でロンドン大学の敷地隣にクラブ専用の練習場を建設した。つまり、アーセナルにとってのワトフォードはノース・ロンドン・ダービーを戦うトッテナムよりも、距離的な“お隣さん”で、現在アーセナルで不動の右SBに定着したエクトル・ベジェリンをはじめとした若手がワトフォードへレンタルされた事も多い間柄。だからこそ、この悔しい敗戦の翌日も回復トレーニングに向かった両チームの選手同士は顔を合わせるわけで、それがまた悔しい、と想像する。ちなみに、アーセナルは「アネルカ資金」の残りで、プレミアリーグ3年連続を含む4度の得点王に輝く事になるフランス代表FWティエリー・アンリを獲得している。

 今季のFAカップ準決勝にはワトフォードとクリスタル・パレスが残り、マンチェスター・ユナイテッドと1-1のドローに終わったウエストハムが再試合で勝利した場合、エヴァートン以外の3クラブがロンドンを本拠地とするクラブが残った事になる。

 大混戦のプレミアリーグも楽しみだが、FAカップでの“バトル・オブ・ロンドン”も含めて、今後のイングランドサッカーを楽しみたいと思う。

 そして、次回はこのワトフォードについて踏み込んでご紹介したい。