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強豪・INAC神戸相手に連敗ストップ!~伊賀の未来が見えた劇的同点劇!【プレナスなでしこリーグ1部・第8節、伊賀FCくノ一vs INAC神戸】

 プレナスなでしこリーグ1部は開幕から7節を終了。伊賀FCくノ一は第4節・ちふれエルフェン埼玉戦で4-0と今季初勝利を完勝で挙げたものの、その後はアウェイで今季1部初昇格のノジマステラ神奈川相模原、ホームで浦和レッドダイヤモンズ・レディース、アウェイでのAC長野パルセイロ・レディースに立て続けに敗れ、GW期間の3連戦に3連敗。順位も10チーム中の9位と苦しんでいる。ただ、伊賀が試合内容では完全に押し込んでいたノジマ戦には、野田監督が志向する攻撃的なサッカーは全面に出ていたので別に切り取るべきだ。

 問題はその後の浦和戦で、ホームにも関わらず0-3の完敗。狙いすらも見られなかった完敗の直後には、敵地の長野戦で先発メンバーを4人変更。守備を重視した中で2-0と敗れ、“らしさ”を見失っていたのだ。

 3連敗中のこの日も、前節からさらに3人の先発メンバーを変更。2試合前と比べると8つのポジションで選手が入れ替わった。(上記図、参照)。

 野田監督は「結果が出ていないから入れ替えているわけではない」と強調するものの、逆に結果が出ていれば、このようなドラスティックな変更はなかった、と想定されるだけに、期待と共に不安も感じさせた。

【INAC神戸レオネッサ】世代交代に成功し、新たな黄金期到来か?

 そんな伊賀がホームに迎えたのは、INAC神戸レオネッサ。昨季のリーグでは“女王”日テレ・ベレーザに2試合を残して連覇を許した。しかし、かつてのような大型補強した日本代表の主力選手の集団ではなく、現チームは高卒で獲得して来た若き逸材たちが段階的に台頭して来た新たなチームだ。

 誰もが一目置く常勝チームに訪れる世代交代。それは古今東西・男女問わずとも訪れる。INAC神戸もその波に揺られたが、昨季はリーグこそベレーザに2連覇を許したものの、皇后杯では2連覇を達成。決勝のPK戦でのビッグセーブを連発したGK武中麗依を始め、DF守屋都弥・MF伊藤美紀・FW京川舞といった新たな世代が中心となって掴んだ初めてのタイトルの意味は大きい。

 思い返せばクラブ史上初タイトルとなったのは、澤穂希さん等が加入する直前だった2010年度の皇后杯。他クラブから補強した選手が実力を発揮してタイトルラッシュが続いた事は百も承知だが、川澄奈穂美(現シアトル・レイン/アメリカ)や現主将FW高瀬愛実のような生え抜き選手の存在が大きかった。

 そんな良いイメージを持って入った今季。INAC神戸は開幕から3連勝でロケットスタートを切るも、その後は4試合で1勝1分2敗。現在も2位をキープしているとはいえ、FIFA-U17W杯・U20W杯と世代別の国際大会で連続して大会MVPを受賞したMF杉田妃和も先発を外れるなど、メンバーを固定できない状況でこの試合を迎えている。

鮫島サイドを完全封鎖するも、逆サイドへの展開で鋭い攻撃も披露

写真2:吉備国際大学時代の先輩・杉田(左)と後輩・吉武。共鳴するデュオとなれるか?by伊賀FCくノ一公式HP

 パスはどう回るか?個々の能力が高いINACは「個」の技術で、伊賀は「組織」としての戦術のディティールによってパスワークを構築する。違いはあっても似ている両チームの対戦は楽しみな要素が満載だ。実際、4月にプレナスなでしこリーグカップ1部で対戦した際は、2-3という撃ち合いの末に敗れたものの、痛快な好ゲームだった。

 そんな中、「INACがここ最近は勝てていないので、前線から仕掛けてくるだろう」との野田監督の予想通り、試合はアウェイのINAC神戸が前掛かりに圧力をかける奇襲から始まる。

 野田監督はビルドアップの起点となる日本代表の左SB鮫島彩の攻撃参加をケアするため、普段は左サイドMFとして起用している作間琴莉を右サイドに回し、前節から先発起用の右SB橋本祥子と共に2人で対面する鮫島サイドを封鎖する対策を執り、粘り強く守備意識を浸透させて戦った。

 この対策によって伊賀の右サイドで密集ができるため、左サイドにはスペースが拡がっていた。そのため、前半はボールを奪ってからの左サイドへの展開で鋭い攻撃を見せた。

 23分、右サイドのスペースに流れたFW杉田亜未がタメを作って戻し、中央へ鋭い斜めのパスが入る。これを前線に顔を出したMF吉武愛美がスルーし、左サイドMFの下條彩が切り込んでシュート。28分には右サイドの密集からMF吉武がワンタッチでサイドチェンジを通し、左SB佐藤楓のクロスをFW櫨まどかがヘッドで合わせる決定機。得点にはならなかったが、確かな狙いを見せた鋭い攻撃だった。

 両チーム共にアグレッシヴで攻守の切り替えも速い展開だったが、プレッシングなどのボールを持っていない部分に注力していた前半はスコアレスで折り返した。

2度の先手を許すも、劇的な同点に持ち込んだ底力

写真3:4試合ぶりの今季自身2得点目を決めた主将FW杉田。「野田監督のサッカー」と言える華麗な崩しからのゴールだった。by伊賀FCくノ一公式HP

 両チーム選手交代なしで入った後半。前半はここ数試合の課題だった守備に軸足を置き、DFラインに合わせた後ろへのコンパクトな陣形を採った伊賀。しかし、後半はパサーの吉武&ドリブラーの福丸智子という攻撃的なボランチ2枚が持ち味を発揮。吉武を中盤に残し、MFの3人がFWを追い越す動きも見せる流動的な攻撃を披露し始めた。

 しかし、好事魔多しとはこのことか?流れを掴み始めた63分。後半から前線のポジションチェンジを図っていたINAC神戸に左サイドから崩され、京川からのラストパスを高瀬が右足で豪快に蹴り込み、INAC神戸に先制点を許した。

 ただ、失点直後に弾丸ドリブラー=小嶋美舞を投入した伊賀は一気にギアアップ。65分に縦パスが入った右からのパスを、中央で受けたFW櫨まどかが超絶技巧のヒールパス。その間に“3人目の動き”でゴール前に走り込んだFW杉田への絶妙なラストパスとなり、相手よりも鼻先で早く触った杉田の同点ゴールが決まって1-1。華麗なパスワークからの完璧な崩しだった。