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J1リーグ第31節 ガンバ大阪VSベガルタ ~柔軟性の果てに待っていた泥試合

 しかし、今野が復帰した柏戦では相手の3バックに対して広島相手に大成功したダイヤモンド型の中盤を採用するも大失敗。采配の迷いが生じた終盤に決勝点を奪われるなど長谷川健太監督が自滅に近い策に溺れる形で連勝がストップしました。ただし、その直後に行われたFC東京戦では、疲労の色の濃い阿部を先発から外しながら、日本代表へ4選手を輩出する強豪相手にシュート17本を放って攻撃的なゲームで勝利し、連勝ストップ後の連敗という流れは阻止してこの日を迎え、久しぶりに間に1週間休みある日程で挑みます。

 そのリフレッシュした中で迎えるホーム戦では、やはり”鉄板”と言える現状のベストメンバーを送り出してスタートしました☆

【6年間の長期政権後に残った手倉森イズムによる柔軟性】堅守速攻→ショートカウンター→ポゼッションへの段階的成長の跡

 仙台は現在J1リーグ14位で完全にJ1残留争いの真っ只中。昨季まで6年間に渡る長期政権を担った手倉森誠監督の2年目でJ2優勝によるJ1への昇格。

 J1昇格2年目で手倉森監督就任4年目となった2011年には東日本大震災でクラブのホームタウンが被災。大規模な影響を受ける中、”被災地の希望”となって開幕から12試合無敗の快進撃。最終的に前年は14試合未勝利も記録する14位でぎりぎりJ1残留を果たしたチームは4位と大躍進。特にJ1最少失点の25を記録した守備のブロックの堅さは屈強そのものでした。

 ただし、ここで終わらないのが手倉森監督が植えつけた柔軟性を備えたチーム。この堅守を支えた韓国代表CBチョ・ビョングクがオフにジュビロ磐田へ移籍すると、セレッソ大阪から快速DFとしてJリーグでも稀有な存在であるCB上本大海を獲得。最終ラインにスピードが加わった事で堅守だけではなく、そこをベースにしながらボールを奪う位置設定を高くしてショートカウンターを効果的に誘発するチーム作りへとマイナーシフト。優良外国人FWウィルソンがこの戦術にぴったりとハマる形にもなり、ウィルソンは13ゴールでベストイレブンにも選出され、赤嶺真吾と合わせて27ゴールを記録して大幅な得点力アップに貢献。前年を上回る快進撃を見せて優勝争いに本格的に参戦して2位となり、翌年のACL出場権を獲得しました。

 翌年にはハードワークに過ぎるチーム戦術とACL参戦のための過密日程対策、またはマンネリを防ぐためのポゼッションの導入を決断。負傷者続出によりリーグ戦では13位に終わるも、毎年違うエッセンスを取り入れて進化していく柔軟性を植え付けた手腕を評価された手倉森監督はU21~リオディジャネイロ五輪代表チームの監督に引き抜かれました。

 今季クラブはその手倉森監督もコーチからの昇格だったため、久しぶりとなった監督人事に迷走。現役時代はサンフレッチェ広島でもプレーし、指導者としてはセントラル・マリナーズをAリーグ(豪州リーグ)優勝やAリーグ最優秀監督の実績を持ち、豪州代表監督の経歴も持つグラハム・アーノルド監督を招聘。
 しかし、監督が豪州で成功した本格的なポゼッション志向のスタイル導入に失敗。公式戦8戦未勝利で成績不振により早々と解任に。後任には手倉森体制を支えた渡邊晋氏が就任。油断を許されない状況ながらも、手倉森体制時代の柔軟性のあるサッカーに回帰して降格圏からは脱出しております。
 また、ガンバからは昨季にMF佐々木勇人が、今季からはMF武井択也が移籍しているため、ガンバサポーターも気にしているクラブの1つかもしれません。

【マッチレポート】チームとしての柔軟性で仙台が狙い通りの試合運び~パトリックに対する”最適マーカー”上本の存在感際立つ

 試合はキックオフからガンバが優勝争い、仙台は残留争いの緊張感を漂わせた堅い入り。シュートの場面はほぼセットプレーからに限られるような試合展開。

 序盤はプレッシングの激しい仙台に後手を踏んだガンバは中盤での球際の競り合いに対しては遠藤と今野が強さを発揮。仙台の最も得意とする部分でも負けず劣らずに対抗し、徐々にボールを持つ展開に。

 しかし、それは仙台がガンバに”ボールを持たせていた”ような状況だったか?
仙台はリズム良くボールを繋ぐ序盤に対して、20分以降はボールを奪わると帰陣して守備ブロックを構築する事で網を引き、ポゼッションで崩し切れないガンバの不用意なパスやルーズボールを拾って反転速攻を狙う形が幾度も見られました。ポゼッションよりもカウンターが武器の今のガンバにとってはコレが最も良い戦略。加えて、CB上本がガンバFWパトリックに対してのマーカーとしてはJリーグで最適と言える強さと速さを兼備している事もあって1対1でも上本が強さを発揮。パトリックは孤立してガンバの攻撃はスペースを作る事すらできずに沈黙。

 逆に仙台の攻撃は特にFW武藤雄樹に渡るとスピードで誰も付いて行けずにフィニッシュの局面まで持ち込まれます。34分にはその代表例のような形で、集中力を欠いたガンバDF陣のエアポケットを突く縦パス1本に武藤が抜け出し、エリア内にまで持ち込んでのシュート。44分にもカウンターから持ち込まれ、赤嶺も絡んで落としたボールをMF野沢拓也が狙うも外れ、仙台の決定力不足に助けられてのスコアレスで前半を終了しました。

柔軟性の限界か?采配にも迷いが見られて泥試合に

 しかし、選手交代なしで迎えた後半。立ち上がりから一気に圧力を掛けました。

 46分、どんどん縦へのパスが入る中、遠藤がエリア内に侵入してキープし、ゴール前で止まる動きでマークを外した大森への横パスで完璧なお膳立て。大森もDFの届かない斜め後ろにトラップしながら踏ん張りの利いたシュートをネットに突き刺し、ガンバが先制。1-0。

 先制直後には雨が急に降り出したようにガンバのシュートも降り始めました。

 しかし、50分にエリア内で受けて右45度から放った強烈なシュートも、56分に今野がドリブルで持ち上がってのお膳立てからのミドルシュートも、共に宇佐美のシュートはクロスバーを直撃して追加点を奪えず。

 雨が止まると、ガンバの攻撃も止まり、スコア上はまだ1点差。仙台は68分にベテランの元日本代表FW柳沢敦を投入して4-2-3-1から、オーソドックスな4-4-2へ移行。サイド攻撃から中央に厚みを加える事でクロスからの攻撃に迫力を加えて来ました。

 追加点を奪えなかったガンバが引いたため、クロスのセカンドボールを拾うのも仙台となり、MF富田晋伍にミドルシュートを狙われる場面も頻発。

 さらに83分にはハモン・ロペスが投入されると、その迫力はさらに加速。そのハモン・ロペスが左サイドで絡んでのクロスをガンバDFはクリアするも、このクリアボールがエリア内でフリーの野沢のもとへ。しかし、右足の精度に定評のある野沢のシュートが外れ、この決定機を外すと・・・。

 ここでガンバに問われるのは、西野朗監督時代の「追加点を奪う事が逃げ切りだと思っている」とは逆の「守り切る事で逃げ切って来た」という今季の事実。結果として守り切る事を選択して引き籠ってしまったガンバはどんどん仙台にゴール前までボールを放り込まれて防戦一方に。