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J1リーグ第28節、ガンバ大阪VS川崎フロンターレ~取捨選択の7連勝も、スタイルとは誰のモノ?

【ベンチ入り】
GK16.河田晃兵、DF4.藤春廣輝、6.金正也、FW20.佐藤晃大

リーグ6連勝&ナビスコ決勝進出&天皇杯ベスト4進出~今野出場停止も、天皇杯の調整で満を持してのベストメンバー

 ガンバはブラジルW杯による中断をリーグ16位と言う降格圏で迎えたものの、中断明け後の5連勝で一気に盛り返し。連勝ストップ後はやや停滞したものの、新潟を5-0で粉砕して復調し、カップ戦はナビスコカップで決勝進出、天皇杯でもベスト4進出を決め、Jリーグ史上2000年の鹿島アントラーズ以来2度目の3冠の可能性を残しています。
 
 特にアジア大会への派遣と負傷欠場によりCB西野貴治に替わって丹羽が入って以降は内容面の濃い勝利が続き、現在はリーグ戦6連勝中。

 ナビスコカップ準決勝の2試合では5-4と日本代表でFW小林悠と負傷のMF中村憲剛を欠いた川崎に打ち合いで2試合合計スコアで勝利したものの、第2戦は内容面では完敗。この日のリーグ戦で小林と憲剛が復帰した川崎相手に進化が問われます。また、川崎を迎える3日前にガンバは天皇杯準々決勝を大宮アルディージャと戦っており、川崎とのナビスコカップの試合から大幅7人の先発メンバーを変更。大宮は同9人替えで天皇杯の意義が問われるメンバー構成でしたが、その試合を勝利で終え、温存されたDF米倉・岩下、MF遠藤、FW宇佐美、パトリックが先発復帰。この日累積警告で出場停止となる今野泰幸の代役にはその天皇杯で予行演習となったMF内田達也が入り、満を持してのベストメンバーでスタートしました☆

>【ガンバとフロンターレ~攻撃スタイルの歴史】>

ポゼッションを捨て”トランジションサッカー”を選択したガンバ、”ファンタスティック6”で緻密なパスサッカーへ変貌した川崎

 川崎は現在J1リーグ4位。現在2位のガンバとの勝点差は2という位置付け。リーグで3盤目に多い得点数以上に、昨季中盤から形になってきた”リーグナンバー1のパスサッカー”を披露するチーム。就任3年目の風間八宏監督の下、元日本代表MF中村や先月のアジア大会で主将を担ったMF大島僚太を軸に、昨季はFW大久保嘉人が得点王に輝き、リーグ戦では3位に躍進。

 関塚隆監督時代(2004~2008、2009年)は前線のジュニーニョら個人技に長けた外国人FWをシンプルに使う大味な攻撃を志向していたものの、風間監督が就任してから、監督や選手の口癖になっている「DFの逆を取って外してパスを受ける」「受けて、出して、動く」というパス&ムーヴの技術指導を軸とした華麗で流動的なパスサッカーを導入して完成度を上げている。今季は風間体制初のACL出場で過密日程に苦しみながら奮闘していたものの、ACLベスト16・ナビスコベスト4・天皇杯3回戦敗退と残すタイトルはリーグ戦のみ。ガンバとの優勝戦線生き残りに望みを賭けた戦いとなりました。しかし、そのパスサッカーをするに至っては、僕的には”ファンタスティック6”と言えるMF中村・大島・森谷賢太郎、FWレナト・大久保・小林の6人が揃う事が最低条件にある選手層の乏しさを感じるのですが、この日はその6人を揃える状況にありながら、最前線にFW森島康仁を配置した事がどうなるのかが注目ポイントでした。

 この両チームにはガンバのリーグ戦とナビスコの初優勝決定試合の相手であるという因縁や、2005年以降のリーグ戦の最多得点を(ガンバが2005,7,10,11,12、川崎が2006,8,9,13、この両チーム以外は最多得点を記録していない)を分け合って来た歴史を含めて、試合の勝敗と共に攻撃面でのライヴァル心が存在する対決。
 しかし、ガンバが長谷川健太監督就任後に、西野朗監督時代(2002~2011年)に”黄金の中盤”と言われた遠藤・明神・橋本英雄(現ヴィッセル神戸)・二川孝広を軸としたパスサッカーを捨て、中央を分厚くしたブロック守備と攻守の切り替えの速さによる”トランジションサッカー”を取り入れたのとは対照的に、川崎は上記のようにガンバとは反対の移行を経た攻撃型のチーム。そういう意味でのスタイルとの変貌対決、または取捨選択の是非が問われる対決でもあります。

【マッチレポート】今野欠場で”持つ守備”が奏功のガンバ。”ファンタスティック6”解体で支配しきれない川崎の葛藤

 試合の方は開始早々から”ファンタスティック6”解体で最前線に入った森島のポストプレーからレナトが鋭い動きからシュートを放つなど、川崎がボールを支配する入りでスタート。
 
 これに対し、日本ナンバーワンのボール奪取力で前アグレッシヴな守備が特徴の今野を欠くガンバはゾーン守備で”待つ守備”を選択。通常はボランチでコンビを組むと遠藤が後ろを担う事が多かった内田達也が後方の役割を担当し、ポジショニング重視で最終ラインの連携を密に取ってDFラインとMFのラインの間を開けずにパスサッカーを披露する相手にとっての肝となるバイタルエリアのスペースを封鎖。ただし、この”待つ守備”を選択した事でボールはほぼ川崎が持つ試合展開となっていきました。

 そんな中、バイタルエリアで起点を作れない川崎は最前線に入るFW森島を活かしたクロスも多用。13分、28分と2度のクロスからのヘディングはその象徴。スペインのバルセロナをモデルしつつも独自のパスサッカーを志向する風間フロンターレはボールを空中に上げるのは当初タブーとされてる向きがあったものの、他チームからの研究もあってクロスを選択し、それに合わせての森島の起用と推測できました。しかし、森谷を外してFW専任の選手を入れているため、流動性が特に縦関係で乏しく、バイタルエリアにスペースを見出す事が出来てはいませんでした。
 それでも大島が巧みなボール捌きからのミドルシュートを放ったり、Jリーグでは誰にも破られないジェソクを相手にスルーパスを引き出す小林の動き出しは見せていただけに、主導権は川崎にアリの前半でした。

 ボールを繋ぐ事を放棄したかのようなガンバは最終ラインから右サイドの裏へパトリックを走らせる”パットリ作戦”を敢行。しかし、明らかに川崎の左SB登里亭平と左CB谷口彰悟がこのパターンをケアしたポジショニングを取っており、不発。宇佐美もなかなか前を向けずとなっては個人技も発揮できず。そんな川崎に支配される中では後方の選手が長い距離を走ってフィニッシュに絡む事が求められる状況で感動的だったのは43分に速い攻撃からサイドチェンジで右サイドを駆け上がった右SB米倉のクロスに、左SBのジェソクがゴール前まで両FWを追い越して飛び込みシュートを放った場面。
 ボールを支配する川崎に対して対抗するガンバの構図での緊張感あるタイトルマッチのようなスコアレスで前半を折り返しました。

一瞬の流れを得点に還元したガンバ~実際に勝負を分けたのはGKの能力差

 両チーム選手交代なしで迎えた後半は、焦る川崎がやや前掛かりになった事もあってガンバがカウンターでゴール前まで迫る回数が増え、そのままリズムを握る。ただし、それは宇佐美の個人技によるモノ。立て続けに単独での局面打開からシュートを3本浴びせ、シュートと共に連続してCKも獲得していく。
 そして57分、連続した右CK。遠藤のキックから意表を突いてニアサイドにフリーで入った米倉が合わせて1-0。値千金の先制点。その後も速攻から大森が脅威のフリーランニングによりエリア内で脅威を作り、相手に倒されるような場面もあるなど、この時間帯はガンバに主導権。