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ガンバに必要だったのは”スペシャリスト”か”多様性”か!?

 今季のガンバ大阪はJ1リーグ開幕を直前にして、昨季リーグ18試合出場19ゴールのエースFW宇佐美貴史が左腓骨筋腱脱臼により約8週間の長期離脱。

宇佐美不在のガンバは練習試合でも全くゴールを奪えていないどころかシュートさえ打てていないような状況でした。

宇佐美と遠藤の2トップをメインとする布陣を始動キャンプから徹底してきた今季のガンバは”スペシャリスト”のFWを排除し、”多様性”を選んだ結果が悪い方向に出ていました。昨季所属したサッカーで言えば”専門職”と言えるポジションであるFWの選手を5人も放出しながら、結局は圧倒的な得点力を持つ”スぺシャリスト”である宇佐美に依存していたのですから。

絶滅を防ぐためのスピッツベルゲン島

 皆様は北極圏にあるスピッツビルゲン島をご存じでしょうか?ここの地下には300万種を越える穀物の種子が彫像されています。穀物の遺伝子を彫像しておくことで、ある穀物の1つの品種が絶滅したとしても、同じ穀物の違う品種(遺伝子)を使う事で世界的なダメージを負わないようにするために貯蔵されているのです。
 僕は学生時代にアイルランドの勉強をしていたので、アイルランドを例にして説明させていただきますが、19世紀のアイルランドにおいて国内唯一無二の産物であるとも言えるジャガイモが流行性の病気で絶滅し、大規模な飢饉が起きました。当時のアイルランド産ジャガイモは1つの品種で占められていたので、その品種にとって抵抗力を持たない病原菌が出現した事により、必然的に大飢饉を引き起こしたのです。このような事態が起こった場合、他の品種で補えるようにするためにスピッツビルゲン島にはあらゆる穀物の品種が貯蔵されているのです。

スペシャリスト」と「多様性

 ところで、上記のような”種子銀行”に必要なのはどういった品種なのか?ジャガイモの中でも大きくて病気にも強くて美味しい品種だけを残しておくべきなのか?いやいや、穀物の絶滅を防ぐためなのだから病気に弱い品種も残しておくべきなのでは?っという議論が巻き起こります。簡単に言えば”スペシャリスト”な品種か、それともより「多様性」を保つ事が重要なのか?という事。穀物の問題になっている病原菌の種類に対する抵抗力も考慮した上で貯蔵する品種を選択しなければいけない問題ですが、これは食生活だけでなく、人間社会にも通じる問題です。
 スペシャリストの多い精鋭専門家集団の企業や、マリアックなお客さんをターゲットにした店舗がある一方で、大衆性や老若男女に好まれる事を目指す戦略もある。という具合に、世の中には”スペシャリスト(専門性)”と”多様性”の狭間で揺れている組織や人が溢れているものです。

”FWのスペシャリスト”ロチャがいなくなり、パトリックがやって来た!!

 さて、ここで本題へ。現在のガンバ大阪はどうでしょうか?宇佐美という絶対的エースが長期離脱したら、長谷川健太監督とフロントはスピッツビルゲン島にちゃんと品種(選手)や戦略を蓄えていたのでしょうか?そもそも昨季終盤から1トップとして最前線でプレーした始めたとはいえ、宇佐美も本職はMF。FWとしてはスペシャリストではありません。変則2トップを組む日本代表MF遠藤保仁はもちろん、ブラジルから獲得したFWリンスは2列目、ユースから昇格してきたFW小川直毅もドリブル突破に長けたサイドアタッカーのイメージが強い選手。”スペシャリストFW”は佐藤晃大ただ1人。その佐藤は昨季は長期離脱から終盤の37節に復帰したばかり。
 遠藤が1.5列目で機能するのはACLを制した2008年に代表されるように、長谷川監督就任前から分かっていた事。それなのにチームの結果が出ているからと言って遠藤を2トップに組み込んだ布陣をメインとしてキャンプから準備するのはナンセンスでした。そこをベースにしてしまったらチーム編成の段階で本職FWは必要なくなり、結果として昨年のFW登録選手は6人中5人が退団という結末を迎えたのですから。
 遠藤はどのポジションでも高いパフォーマンスを披露できる”多様性”を持った選手で、宇佐美ともMF陣とも上手く絡める事で、”ダブルゼロトップ”が完成していたわけですが、それはJ2が舞台だったからという理論付けや、昨年9月から10月にかけての連敗未勝利期間があった事から来た”プランB”から生まれた産物でした。もちろん、プランBがメインになってもいいわけですが、このプランBは宇佐美という”日本の至宝”の卓越した個人技に頼る事を前提として成立しているわけで、だからこそチームが攻撃に人数をかけずにフィニッシュに至るカウンターでゴールを奪い続ける事ができたのですから。その宇佐美の長期離脱により、そのカウンター主体のメイン攻撃パターンもなくなってしまったのですから、ダブルゼロトップはあくまでプランBのままにしておくべきプランだったのではないでしょうか?

 しかし、本当に”スペシャルなFW”でなければ貯蔵(在籍)しておくべきではありません。穀物の問題でも、人間社会の問題にも”スペシャリスト”も必要だし、”多様性”も必要。また、スペシャリストは専門性が高くても広範囲に対応できません。逆に多様性を持っていればどんな専門的な問題にも対応できるわけでもありません。
流れの中では機能していなかったものの、シーズン途中加入で準備期間がほとんどない中、13試合9ゴールと数字上は“スペシャル”な結果を出していたロチャと契約を延長しなかったのがJ1リーグ中断前までの14試合を4勝3分7敗でJ2降格圏の16位という低迷に繋がったと、僕は思っております。
 せめてロチャは夏まで契約しておいた方が良かったのではないでしょうか?そもそも昨年夏に加入したので、普通に1年契約で最低でも今年の夏まではいるかと・・。中断明けにパトリックが加入して5連勝しましたが、パトリック加入よりも、宇佐美が先発に復帰した中断前の12節から勝ち星は付いて来ています。

宇佐美先発復帰前 11試合 勝点9 (2勝3分6敗)9得点15失点 
宇佐美先発復帰後 10試合 勝点22(7勝1分2敗)23得点9失点

パトリック加入でもロチャ残留でもそれほど変わらなかった、
が正解のような気がするのは僕だけでしょうか?

By | 2017-04-21T21:52:45+00:00 9月 4th, 2014|Categories: J1リーグコラム, コラム|Tags: |0 Comments

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hirobrown
創設当初からのJリ−グファンで各種媒体に寄稿する副業サッカーライター。好きなクラブはアーセナル。宇佐美貴史やエジル、杉田亜未など絶滅危惧種となったファンタジスタを愛する。趣味の音楽は演奏も好きだが、CD500枚ほど所持するコレクターでもある。 サッカー歴:中学・高校時代にサッカー部に所属。 中学時は大阪市トレセンに選出される。 その後は競技者としてのサッカーから離れていたが、サッカー観戦は欠かさない 。

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