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【連載】サイドバックから考える現代サッカー~時代や戦術に翻弄され、求められた“ハイブリッド化”

 しかし、2002年の日韓W杯では優勝したブラジルや日本を含む多くの国が3バックをメインに採用していたが、2006年のドイツW杯時には極端に少なくなっていたように、「3バック時代」は2005年前後で完全に終焉を迎え、全世界共通で4バックを選択する時代となった。

 そして4バックに戻った時、SBには当然ながら元々のSBが戻って来たのだが、中には元ウインガーのようなアタッカー色の強い選手もSBに流れて来ていた。また、チーム編成が3バックに傾いたままで4バックに移行したチームもあり、本職のSBがいないまま無理矢理のようなコンバートで済ませていたチームも多かった。SBは多くの複合的要素も含めてハイブリッド化されていったのだ。

象徴的なマンU・バレンシアのSB化

 マンチェスター・ユナイテッドのエクアドル代表MFアントニオ・バレンシアは、2009年にクリティアーノ・ロナウドがレアル・マドリーに電撃移籍した事を受けて加入した右ウイングだった。ユナイテッド加入前のウィガン・アスレティック時代からプレミアリーグ有数のウインガーとして安定した活躍を続けており、それが認められてユナイテッドも獲得した選手だった。

 そして、ユナイテッド加入後もバレンシアは安定した活躍を見せていた。ウインガーでありながら得点源だったロナウドほどの活躍が出来ないのは最初から分かっていることで、当時のイングランド代表のエースFWウェイン・ルーニー(現・エヴァートン)を新たな得点源とする事でチームはしっかりと作り直されて優勝争いもしていた。

 しかし、時代はウイングに得点力を求めていた。また、利き足とは反対のサイドにポジションを取る「逆足ウイング」が、サイドから中央にドリブルでカットインしながらシュートやラストパスを狙う選手が求められた。まさに、時代の寵児となったロナウドやリオネル・メッシのような選手達だ。

 利き足と同サイドでプレーするウイングは、ボールを持つと縦に突破を仕掛けてクロスや折り返しを狙うため、得点数が少ない。バレンシアは典型的なこのタイプだった。チームがSB不足で、運動量や守備力にも優れるバレンシアは急造で右SBも務めていた。

 そして、ルイス・ファン・ハール監督が就任した2014年には3バックが採用され、バレンシアはWBとして起用され、4バック採用時も右SBとして考えられ始めると、2016年からのジョゼ・モウリーニョ現監督体制では本職右SBとして固定されている。モウリーニョ監督はフロントに「スピードのあるウイング」の補強を訴えており、バレンシアは「監督、それ俺も出来ます!」と思っているかもしれないが、今やバレンシアはプレミアリーグ屈指の右SBとなっている。

 バレンシアに起きた近年の事情だけでなく、3バック時代から4バックに戻った事で、改めてSBには攻撃力が要求されているのが理解できる。逆に言うと攻撃力のあるSBの誕生により、ウイングやサイドアタッカーに守備力が要求される流れにも繋がっており、Jリーグにも起きた現象はこの点でも合点はつくのである。

次回予告:細分化された多機能な現代型サイドバック

 攻撃的なSBが当たり前となった現代、SBはタッチライン際をアップダウンするだけではなくなった。サイド攻撃でクロスを上げて終わりではなく、冒頭のようにマルセロのようなゲームメイクができるSBも登場して来た。

 動きの面でも、「オーバーラップ」というピッチの外側を駆け上がる攻撃参加だけでなく、内側に駆け上がる「インナーラップ」という動きを多用する選手もいる。また、攻撃性能を求められる傍ら、DFであるために賢く守る事は当然必須である。

 そこで次回は、そんな「多機能で高性能な現代型SB」を細かく検証したいと思います!お楽しみに!

【連載】『サイドバックから考える現代サッカー』
≪第1回≫「世界のイチローのように固定概念を覆す!」
≪第2回≫「サイドバック誕生の歴史的背景」

≪第3回≫「時代や戦術の発展に翻弄され、求められた“ハイブリッド化!”」

About the Author:

hirobrown
創設当初からのJリ−グファンで各種媒体に寄稿する副業サッカーライター。好きなクラブはアーセナル。宇佐美貴史やエジル、杉田亜未など絶滅危惧種となったファンタジスタを愛する。趣味の音楽は演奏も好きだが、CD500枚ほど所持するコレクターでもある。 サッカー歴:中学・高校時代にサッカー部に所属。 中学時は大阪市トレセンに選出される。 その後は競技者としてのサッカーから離れていたが、サッカー観戦は欠かさない 。

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