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欧州蹴球文化探訪 第二十六の巻 不思議の島のキプロスとデンマークの因縁

 地中海に浮かぶ神秘の島キプロスのクラブが、世界サンタクロース会議を開催したばかりのデンマークのクラブに勝利した。←字面はカワイイが内容は金金金・・・のえげつない第二十六の巻

アポエルニコシアの奇跡

 人口80万人に満たない地中海の海洋国家キプロス。第十二の巻で記したとおり、EU加盟国最東にあるため、フットボール界ではAFC・CAF・そしてUEFAの各大陸連盟に囲まれたヘソに位置する。90年代ソ連邦崩壊以降、優遇税制措置をアピールして厳寒の地で暮らすロシア人を中心に海外富裕層の預金をカッポリ取り込んだ。ギリシャ正教国家のキプロスと正教文化主義ロシアの相性の良さに加え、トルコと長く対立してきたロシアの歴史がおな同じくトルコと反目するキプロスを手厚く支援させた。外国人が“夢“見るリゾート不動産物件売却も好調。潤った財政の恩恵をフットボールクラブも被る。

 首都ニコシア。異なる国の首都を兼任する世界でも唯一の都市には、現在も北キプロス・トルコ共和国とのグリーンラインが存在する。

 アポエル:APOELニコシアの中盤の底に君臨するポルトガル人ヌーノ・モライス(31歳)がチームの要。かつて同胞モウリーニョにその才能を高く評価された20歳の若者は2004年チェルシーへ。しかし出場機会に恵まれず決意を胸にロンドンを離れ向かった先が目映い地中海。
 セルビア人の名将イバン・ヨバノビッチが鍛えたチームは、2009-10に、チェルシーとUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ(GS)で対戦しておりモウリーニョとの再会を果たす。(結果3敗3分で敗退)。
 この年欧州選手権(ポーランド・ウクライナ開催)の予選も始まり、2011年9月3日ギマライエンス。キプロスの代表チームは開幕戦でポルトガルと壮絶な砲撃戦を演じ4-4のドロー。グループHは嵐の幕開けとなりギリシャ人監督は胸を張った。
 経験を重ね(財)力を蓄えたアポエルは2011-2012シーズン再びCLの舞台に。グループステージの顔ぶれはロシアのゼニト、ポルトガルのFCポルト、旧ソ連のウクライナからシャフタールと揃ったのだから苦笑せずにはいられない。
 ポルト戦で代表チームの借りを返すと、“お得意さま“のロシアにも牙をむいたアポエルは大方の予想を覆し決勝トーナメントへ駒を進めた。1回戦オリンピック・リヨンを破りCLベスト8へと進出。モライスは再び敵将モウリーニョと同じ土俵に上がった。レアル・マドリーに敗れこそしたがモウリーニョから異例の賛辞がヨバノビッチとアポエルに贈られた。
 2004年EUに加盟したキプロスのリーグではEU圏の選手は無制限、圏外でも一年在籍すれば同じ扱いなので、かつての脱税天国はフットボールにおいても外国人天国に。2012年3月ホームでのレアル戦のスタメンと途中交代3名計14人の顔ぶれを見てもキプロス国籍3名のみ。ポルトガル4ブラジル4とポルトガル語圏の出稼ぎ組が幅をきかせる。

デンマークとの因縁

 昨季のアポエルはCLプレーオフでデンマークのオールボーBKと対戦。ホームGSPスタジアムでの2ndレグ、ブラジル人MFヴィニシウスやトマス・デ・ビンチェンティ(アルゼンチン)のゴールで4-0とオールボーを粉砕(二試合計5-1)。本戦GSではバルサ/PSG/アヤックスと同居したので今更結果は問う必要もなもないだろう。

 今季のアポエルはカルバ(UAE)から新加入のポルトガル人ルイス・リアルをCFに起用。左ウィングにポーランド人ピアトコウィスキ、カルロン(ブラジル)とレギア・ワルシャワから新加入のスペイン人イナキ・アスティズ・ベンチュラのCBコンビ。右サイドバックにマリオ・セルジオ(ポルトガル)。アヤックスユース出身のオランダ人ボイ・ヴァーテルマンがゴールマウスの前に陣取る、前述の南米国籍二人も含め外国人天国は健在。

 注目のCL予選三回戦。ジブラルタルのリンカーン・レッド・インプスFCを一蹴して勝ち上がってきたデンマーク王者FCミッティラン。昨シーズンの優勝は、長年の夢をかなえた初の栄冠だった。
そのミッティランとアポエルが対戦。

 7月28日1stレグ2-0の勝利を収めアポエルは余裕で次節に臨めると思われた88分・・・ポウルセンのミドルシュートがネットに突き刺さる。

 8月4日2ndレグまで勢いは保たれており開始2分ポウルセンの蹴ったボールを主将のエリック・スヴィアチェンコ(デンマーク代表)が頭で合わせ先制、トータルスコアは同点に。
 更に29分ヴィニシウス退場。残り60分を一人少ない状況で戦わなければならない圧倒的に不利なシチュエーション。GSPスタジアムに悲鳴と罵声が交差する中ミッティランの猛攻を凌ぎきったアポエルがアウェーゴール差でプレーオフ進出を決めた。

 FCミッティランには、今季アウストリア・ウィーンからダニエル・ロイヤー、エスビィアからマルティン・プシッチのオーストリア人二人が新加入。この一戦の先発はロイヤー、66分そのプシッチと途中交代。
 スウェーデン期待の星クリストファー・オルソン、中盤の底にフィンランド代表ティム・スパルブ、ヤコブ・ポウルセンなどエールディビジで見かけた顔と名前もチラホラ。ワントップには、モルテン“ダンカン“ラスムセンとこのクラブからデンマーク代表へ人材を供給している。

About the Author:

Yoshitaka Yokozawa
1964年生 / 東京都在住 NPO・NGOの経験を活かしてサッカルチャー・チャアマンをしてます。 本業は国際交流コンサルタント。文化催事の企画運営や講演など欧州と国内をころげまわってます。 サッカルチャーコラム連載では欧州蹴球文化探訪(全41回) 同ベルギーの光と闇(全27回)※最終話そのうちUPします。 長靴の国で観た異邦人たち(全21話) サッカルチャー・ホームタウン秘書室(2017年~ 同 日本人が知らないアーセナル 全8回含)他。 サッカルチャーやっててよかったのはバルセロナで故ヨハン・クライフに逢えたこと。世界各国の”秘書たち”とビールを飲むのもささやかな楽しみ。

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