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UEFAネーションズ・リーグ撮影記/ファインダーから見える近未来の世界勢力図(3)

ぷら~り 欧州蹴球場百景【72】ロフタス・ロード・スタジアム / ロンドン

来春開催されるUEFAネーションズリーグ準決勝と決勝。FIFAワールドカップロシア大会の実績が額面通りなら、本命は唯一ベスト4入りしたイングランド代表になるのか。


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昨年グラスゴーにて、ハリー・ケインの劇的な同点ゴールに絶叫して以来、今のスリーライオンズも気に入ってはいるのだがオランイェ贔屓は死ぬまで変わらないので、優勝予想はオランダ。


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東京から9000キロ離れたプラハ。UEFAネーションズリーグ・グループステージ最終節のエデン・アリーナ
国家斉唱から互いに健闘を称え握手。そして両主将によるコイントス。チェコ代表はブルーの腕章をつけたボジェク・ドチカル。


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スラヴィアのユース出身ながら2013年から在籍したスパルタ時代、UEFAヨーロッパリーグでの活躍が印象に残る。2015-16シーズンはラツィオを破ってのベスト8入り。キャプテン・マークをつけた9番は敵地オリンピコで開始10分先制ゴールを決めた。翌シーズンのGSではサウサンプトンの吉田とも顔をあわせた。爆買い中国河南建業から現在は、メジャーリーグサッカー(MLS)フィラデルフィア・ユニオンにレンタルされている。


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2日前のウクライナ撃破の立役者、背番号10番の右ウィング、アルベルト・ルスナークは、先制点と3点目、4点目のアシストを記録。


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しかしこの日は沈黙したまま1点ビハインドの後半7分と、早い時間帯でベンチに退いた。1994年生まれの彼は2008年、マンチェスター・シティが触手を伸ばし将来を嘱望されたスロバキアの星。


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2013年シティのU21からトップに昇格後、バーミンガムなどに貸し出されるが2015年にフローニンヘンに完全移籍。欧州デビューは2016-17シーズンのUEFAヨーロッパリーグ。マルセイユ、ブラガ戦などGS6試合にスタメン出場。現在24歳はレアル・ソルトレイクシティに所属している。

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カカに始まりビジャ、ランパードにジェラード、ピルロ、シュヴァインシュタイガー、イブラヒモビッチ、そしてルーニーと30歳を超える超大物の移籍報道活字を目にする度、勝手に「年金リーグ」と決めつけていたが今春パソス・デ・フェレイラで注目したアンドレ・オルタ(当時ブラガ所属)の移籍を知り疑念が生じる。【70景参照】


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2009年ニュージャージー、ジャイアンツスタジアムを訪問。隣接する建設途中のスタジアムを目の当たりにした時から、1996年に開幕したMLSのインフラ整備が着々と進んていることは知っていた。【52景参照】


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現在観客動員数では室内競技のNBAやNHLを抜いて、人気スポーツのアンケートでは野球を上回る勢い。ハード面を整えてからソフト面=プレーヤーに着手した成果が結びつつある。

第72景はクイーンズパークレンジャース(QPR)の本拠地ロフタス・ロード。ロンドン地下鉄セントラル線のホワイト・シティ駅からおよそ10分。

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2010-11シーズンのチャンピオンシップ優勝で96年以来のプレミア復帰。世界最高峰の舞台で戦う為の戦力補強。当時マンチェスター・シティに在籍、サンダーランドに貸し出されていたネダム・オヌオハを獲得した。ナイジェリア出身の元イングランドU21代表は昇格と降格を繰り返し、近年3シーズンはチャンピオンシップ=2部に落ち着いてしまってもチームを離れることなく、OPRで200試合以上出場している。


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32歳の年齢を理由に契約を切られた彼が向かった新天地MLS。同じ時期に鷲の上に無意味な星が並ぶエンブレムを胸につけたルスナークとオヌオハ。二人が同じピッチに立ったのは9月20日スポルティング・カンザスシティ戦。※ルスナークはU21=セカンドチームでのみプレー、プレミアに出場経験はない。


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相対するカンザスシティ4-3-3のフォーメーション、10月ハンガリー代表に招集されギリシャ戦途中出場した元リヴァプールのネーメト・クリスティアーン(1989年生まれ)がスタメン。78分には、ダニエル・サロイ(1996年生まれ)と二人のハンガリー代表フォワードが出場している。MLSのカンファレンス決勝開催日が11月25日。ゾルターン・シュティーベル(1988年生まれ)もDCユナイテッドに所属するが米国組の姿がスタメンどころかグルパマ・アリーナのベンチにさえ見当たらなかったのはMLSプレーオフの日程の影響か。


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サッカー版メジャーリーガーでは東欧勢よりも北欧勢がネーションズリーグで輝いた。最終戦キプロスから3ゴールを奪いノルウェー代表をB昇格に導いたエース オラ・カマラ(1989年生まれ)はロサンゼルス・ギャラクシーでズラタン・イブラヒモビッチと破壊力抜群の北欧ツートップを組む。
シアトル・サウンダースには、Aリーグ昇格したスウェーデン代表の中盤グスタフ・スヴェンソン(1987年生まれ)。ズラタンやスヴェンソン以外にも米国へ渡ったスウェーデン人は意外に多い。 


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9月初戦のホーム、ハンガリー戦1-0勝利したフィンランド代表の11番。得点をアシストしたのはラスムス・シュレル(1991年生まれ)。ロビン・ロド、田中亜土夢とヘルシンキで中盤を構成したミッドフィルダーはミネソタ・ユナイテッドでプレーしている。《上写真左端マイク・ハーフナーの隣28番がシュレル。》


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前頁写真は昨春のロンドン西部グリフィン・パーク。外国人偏重のプレミアリーグが英国人選手から実戦の場を奪い、成長を妨げ代表を弱体化させたなどと馬鹿げた論調をよく耳にする。昨シーズン、チャンピオンシップは、スペインのリーガを上回る観客数を叩き出した。ロフタス・ロードにしても1万8000人程度のキャパシティでプレミア時代(2014-15シーズン)の1万7000人に及ばずとも、過去3シーズン平均は1万4000人を軽く超えている。


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別格のプレミアを切り離して考えるべきで、英国にはオランダやロシアよりも恵まれた環境=国内リーグがある。
プレーする場所を外国人に奪われてもイングランドの選手は他国でのプレーを嫌がるのが代表低迷の要因と囁かれた時期もある。確かに母国語以外を習得しない傾向は否めなくもないが、ここから本題。


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西・独・仏に限らず欧州ではほぼ見掛けることのないイングリッシュフットボーラー。彼らが最もプレーしている異国のリーグがMLSであることに間違いはなく、今後更に増えるだろう。今や投資家のベッカムに始まり前述のランパード、ジェラード、ルーニーと大物だけでなく、チャンピオンシップレベルのクラブと契約できなかった選手が米国に流れ易い。

一方MLSから本場欧州へと旅立つ選手達。バイエルンがカナダ代表の超新星アルフォンソ・デイビスを獲得すればトッテナムやニューカッスルがパラグアイのミゲル・アルミロンに興味を示す。昨夏QPRのセカンドチームには米国からDFジャイルズ・フィリプス(1997年生まれ)が加入した。MLSのレベルが上がりプレミアでプレーする米国人も増えるだろうから、ベクトルは一方向ではない。


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さて前回述べたとおり、ようやく開国したJリーグではあるが、協会はいつまでも反日感情の強い近隣国やミミズがはったようなアラビア文字を駆使する中東諸国と歩調をあわせようとして足踏みをしている場合ではない。UEFAネーションズリーグを起ち上げ独自の強化を進めようとする欧州。対抗する勢力の台頭が望まれる今リーダーシップを発揮できるのは日米の経済大国に他ならない。

そして両国のパートナーシップに真っ先に反応するのは、国内移籍禁止の悪法を改正し発展が予想される豪州と睨んでいる。
代表強化のためにオセアニアに見切りをつけ、アジアの枠に参入する荒業も辞さない同国の協会は間違いなく動く。政治腐敗のブラジルや、ペソが急落するなど経済危機を繰り返すアルゼンチンを筆頭とする南米は、今となっては選手の産出国でしかない。


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2026年のワールドカップ北米開催に向け、代表強化を企むアメリカと、日本、豪州が手を組みUEFAネーションズリーグに対抗するパン・パシフィックリーグ構想が誕生すれば未来の勢力図は大きく変わる。
外交下手な日本人でも英語圏の国であれば言葉の壁も低い。欧州一極化に歯止めを聞かせたいFIFAにとっても悪い話ではない。


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かつてMLS国際部在籍時の中村武彦氏が実現させたパンパシフィックチャンピオンシップ(PPC)。中村氏が大学時代に発案したPPCは秀逸なアイディアではあったが、大会を米国企業に買い取られ消滅する。ハワイ開催にこだわる中村氏はパシフィックリムカップを本年開催、MLSとJリーグの交流も復活した。

そのパシフィックリムカップに参加したMLSのバンクーバーホワイトキャップスFC。彼らのホームタウンから東京まではおよそ7500キロ。これは東京~シドニー間とほぼ同距離である。サンフランシスコで8200キロ、ロサンゼルスまで南下しても9000キロは超えない。


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しかしドーハでサンフランシスコとほぼ同距離。ヨルダンやサウジアラビアのジェッダは9000キロを超え、欧州よりも更に遠いのだから、アジアで一括りにされている事自体が馬鹿げている。


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具体的には北米サッカー連盟の三ヵ国と日本、豪州に中米または南米から招待国を入れた計6カ国を半分に分けて、秋にまずはリーグ戦をH&A開催。最上位2チームによる決勝戦及び順位決定戦は翌春に開催。優勝チームとUEFAネーションズリーグ優勝国との対戦を実現させるのは日程的に無理があるか。


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国内リーグ=クラブレベルでは、アジア枠も撤廃したことで、欧州、アジア、アメリカ、中南米と、大陸間での選手の循環が今後更に促進されるのは間違いないし、大変好ましい。


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しかし協会=代表レベルでは、欧州の独走を止める対抗勢力の構築が急務だ。2026年大会から出場国が48に拡大され、アジア予選の負担は軽減される。
ドーハ、ジョーホールバルのようなスリルと感動、高揚感も失せるだろうが、その分世界仕様のチームづくりに時間を費やせるのだから、無駄なフレンドリーマッチを繰り返している場合ではない。

島国の日本はユーラシア大陸国と一線を画して然るべき。将来的には、AFCから日豪両国が脱退し北中米カリブ予選に加わることになれば非常に面白いのだが、ニューヨークあたり(1万キロ)がコンディショニングを考えると限界だろうから現実性には乏しい。


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さてパン・パシフィックリーグ実現に向けてキーパーソンになりそうな人物がいる。

言わずもがな、世界で最も知名度の高いジャパニーズフットボーラー、『ケイスケ・ホンダ』である。
いち早く脱欧州を果たしメキシコを経て現在は豪州でプレー。カンボジア監督を兼任するなど、独自の視点とユニークな発想、そして何より時代を先取る感性、それは本能と言い換えるべきか。南アフリカ大会での名言から既に8年、いずれにしてもやはり彼は、予知する何かを持っている気がしてならない。
パチューカ移籍時候補としてロサンゼルスFCなど複数のMLSクラブの名前も挙がったが近い将来彼がもう一度太平洋を渡る日が来るのかもしれない。【七十二景了】

文/撮影:横澤悦孝 モデル:久留実《Culumi》

※カバー写真で久留実さんが飲んでいるのは英・ロンドン・プライド。

By | 2018-12-18T09:19:03+00:00 12月 15th, 2018|Categories: Soccerlture League, コラム, ひゃくぷら, 未分類|0 Comments

About the Author:

横澤 悦孝
1964年生 / 東京都在住 NPO・NGOの経験を活かしてサッカルチャー・チャアマンをしてます。 本業は国際交流コンサルタント。文化催事の企画運営や講演など欧州と国内をころげまわってます。 サッカルチャーコラム連載では欧州蹴球文化探訪(全41回) 同ベルギーの光と闇(全27回)※最終話そのうちUPします。 長靴の国で観た異邦人たち(全21話) サッカルチャー・ホームタウン秘書室(2017年~ 同 日本人が知らないアーセナル 全8回含)他。 サッカルチャーやっててよかったのはバルセロナで故ヨハン・クライフに逢えたこと。世界各国の”秘書たち”とビールを飲むのもささやかな楽しみ。

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