タイトルは、荒井由実時代のコバルトアワー(1975年)に収録された「チャイニーズ・スープ」を引っ張り出した。欧州におけるチャイニーズについて暫し熟考した第三十五巻

マイク・ハーフナー連発!オリエンタルADOデン・ハーグ無敗キープ

 8月8日に第二十五の巻でヘルシンキの日本人プレーヤー二人の活躍に期待と書いたら11日に移籍発表。マイク・ハーフナーはエールディビジのADOデン・ハーグへと旅立った。

 8月15日の第二節トウェンテ戦4-1で大勝。ユトレヒトから獲得したフランス人FWエドゥアール・デュプランが左サイドから折り返したボールをダイレクトで叩きこんだ左足のシュートは見事。それ以上にインパクトがあったのはマイクとの競り合いで相手ゴールキーパーがハイボールの処理をミス。こぼれたボールをスハーケンが押し込んだ2点目はマイクの体格が貢献したシーン。

 8月23日の第3節ホームのユトレヒト戦もその長身から終了間際劇的な同点ゴールを演出してドローに持ち込んだ。ハーフライン上から前線目がけてのロングフィード。エリア内での打点の高いヘディングが創りだした軌道をGKは見送るしかなかった。マイクの2試合連続弾で、ADOは無敗のまま次節大きな壁となるアヤックス戦に臨む。

 あらためて、シンプルなゴールを見せつけられるとこの長身を活かしたプレーを日本代表でも見たくなる。

 スペインのコルドバでは干されて、ヘルシンキを経由して再びエールディビジの下位クラブ(昨季13位)に戻ったのだから落胆する意見も仕方ないが、ADOデン・ハーグは再出発するには満更悪くない。
 ハーグの人口は50万人前後で京セラスタディオンを埋め尽くすには充分。
 100万人を越える都市のないオランダではアムステルダム、ロッテルダムに次ぐ三番目の中都会。本年より株式98%を買収したワン・フィ会長のチャイニーズ・マネーを財源に飛躍を目指す。
 昨年宮市亮がレンタルされながら出場できないことでクローズアップされたFCトウェンテの財政難。資金が捻出できず協会が定める財政基準を満たさないとして二度減点されているが、15万人都市でのビッククラブづくり計画には無理があった。

 第二十一巻蘭国三都物語と第二十三巻でも書いたように、マイクが2年半在籍したフィテッセ・アーネムはエールディビジでもかなり特殊なクラブで外野が騒がしすぎた。チーム事情とはいえルッテン監督がサイドハーフで起用するなど不可解な采配も目についた。オランダの良くいえば伝統的悪くいえばワンパターンのスタイルでマイクを3トップの真ん中以外で使う監督を探すほうが困難だろう。

 今回はフラサー監督の戦術も含めリスクの少ない選択。開幕戦王者PSVとの劇的なドロー決着から好スタートを切れて波に乗れたのも大きい。残留目標などと言わずチャンピオンズリーグは無理でも、プレーオフからヨーロッパリーグは狙いたい。

乾スペインへの挑戦。本人がチャレンジしたいなら誰にも留められない

 さてスペインのエイバルに乾貴士の移籍が決まりそうだ。2部のボーフムからフランクフルトに移籍して3シーズン。今回のスペイン行きは、乾本人が希望して決定したと地元紙の報道。環境をそろそろ変えるのは悪くないが、スペインは日本人選手に取って鬼門。エイバルの戦力ではこちらこそ残留が目標。黒星が続く棘の道を覚悟しなければならない。コメルツバンク・アレナの四面宙吊りスクリーンでの背番号8もこれで見納めか。

 乾の移籍記事で眉間に皺が寄る一方、同じくマドリードで初の中国人プレーヤー誕生に腹を抱えた。レアルでもなければ中国企業に株式の一部を売却したアトレティコでもない。

 あのラーヨ・ヴァジェカーノ。赤の斜めタスキがかったユニフォームの胸にはかつてハチやら牛やら描かれたシュールなデザインは筆者のようなマニアは高く評価していたのだが、昨季から中国企業の“銭宝(Qbao.com)”がスポンサーとなり胸にはゼニとタカラの二文字が刻まれている。この年間予算1000万ユーロに満たない極貧クラブに「銭は宝なり」が痛いほど似合い過ぎている。

 パコ・へメス監督は
「北京国安からのチャン・チェンドン(中国代表)の移籍は、スポンサーからの強要で現場の意見を無視している」
と不満を露わにしたのだから大笑い。パコ監督のこの歯に衣を着せぬパーソナリティーに陶酔した。SDは早急に反論しているが、事の真実はどうあれ、なんとも中国らしいエピソードとなった。

 かつて日本人選手の欧州移籍の際、必ずジャパンマネー=日本企業のスポンサード目当てとかレプリカの売上増目的での獲得などと陰口を叩かれたし、事実そのようなケースも多い。しかし逆の発想は日本(企業)は有り得ないし聞いたこともない。