試合直後の宇津木のインタビューに感動

 女子W杯決勝・アメリカ戦、W杯連覇がかかる前回女王のなでしこJAPANは開始15分間で4失点を喫し、2-5で敗れて連覇はなりませんでした。

 悔しさが残る試合直後、大きなミスをして涙が止まらない選手、最後のW杯だったベテラン選手の悔しさ、出場機会が少なかった選手、貴重な経験を得て次大会以降に期待を持つ選手、個々に色々な感情を持つ選手達の中、この日はボランチとして先発出場しながら左SBや3バックの左CBなどでもプレーしたMF宇津木瑠美のインタビューだけが異彩を放っていました。

 あれだけショッキングな敗戦を喫した直後ながら冷静に試合を振り返った上で、4年間の自分の成長や今後に向けて前を向く発言の数々、アメリカを称える言葉などなど。非常に感動的なモノがありました。自身がレギュラーとしてプレーした初めての国際大会で、その要因を聞かれて、

「サッカーの技術が急に向上したわけでもなく、人間としての成長。フランスへ行き(フランス・モンペリエ所属。来季で5年目となる契約も延長済)、人とのコミュニケーションの重要さはどうあるべきか?サッカーが団体スポーツとしてどうあるべきか?人として成長するためにはどうあるべきか?人としての成長が4年間の成長だと思います。」

 もともと、「明日サッカーが出来なくなっても後悔しないように、毎日の練習や試合をこなし、今日よりも明日の自分が成長できているように」、と考えながら日々を過ごしている宇津木のような選手がいる限り、なでしこJAPANの未来は明るい。

 宇津木や大儀見優季といった体格でも海外の選手に見劣りせず、意識も高い中堅選手が大きな柱になって、彼女たちが新たに台頭してくるであろう若手を引っ張る姿は実に頼もしい未来に感じました。男子のブラジルW杯惨敗や、先日のW杯予選・シンガポール戦でFWだけをどんどん投入するだけという試合には煮え切らずにイライラするような感覚を覚えましたが、なでしこがこの日も貫いた「最後まで諦めない姿勢」はいつまでも応援したい気持ちにさせてくれるもので泣けました。

 宇津木のような選手が男子サッカー界にもいてくれればいいのに・・・。そう思った決勝戦、そして試合後でした。

さらなる進化は『純なでしこ化』=U17W杯を制した高倉監督の昇格人事に着目

 なでしこJAPANの世代交代は進んでいないかもしれませんが、昨年の17歳以下のW杯では愛称「リトルなでしこ」が大会を6戦全勝の23得点1失点、さらに12人の得点者を生むという圧倒的な強さで世界女王に輝いています。未だ18歳前後の彼女たちがフル代表のなでしこJAPANにまでは即座に到達はできていませんが、優勝監督の高倉麻子さんは現在もそのまま同じ世代を持ち上がり、2016年に開催される20歳以下のW杯を目指す現・U19女子日本代表監督として指揮を執っています。

 なでしこJAPANはW杯でも2007年大会まではグループリーグ敗退が続いていましたが、現在の佐々木則夫監督が就任してから2008年の北京五輪でベスト4、2011年のドイツW杯で優勝、2012年のロンドン五輪とこの日のカナダW杯で準優勝と一気に黄金時代のような成果を上げていますが、それは1人の監督とある程度固定された黄金世代のメンバーとも言える選手達が揃って成し遂げた功績でもあります。

 現在のアメリカやドイツのような女子サッカー大国の代表チームは女性監督が指揮を執っています。どれだけ佐々木監督が優秀でも「なでしこ」にはなれないため「一線」はありますし、女性選手としての経験を語る事もできません。今後、継続的になでしこJAPANがW杯や五輪でタイトルを争う鍵は女性監督の誕生なのかもしれません。