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欧州蹴球文化探訪 第三十一の巻 ピルゼンホップのほろ苦さ

 日本のビールの税率は高い。しかし標準税率そのものは欧州に比べ低い。欧州を旅すると軽減税率に関して言いたいことは山ほどふくれあがるが、フットボールの話題・・・この巻はチェコのピルゼン。

地味でも勝負強いチェコのクラブチーム

 狂気の猛暑が落ち着いたここ数日、ビールを飲み干す量も回数も幾分減った気がするお盆前。

 UEFAヨーロッパリーグ(EL)予選日程はここまで3回戦を消化。残すところマイナー国の王者をはじめとするチャンピオンズリーグ(CL)で敗れた敗者復活組とEL予選を勝ち抜いた叩上げ組が本大会への切符をかけてホーム&アウェーで激突するプレーオフのみ。欧州カップ予選も一段落すれば、各クラブは国内リーグに専念しモチベーションを高める。

 このプレーオフ出場クラブを国別に分けると最多はチェコの4クラブ。

 昨季王者ヴィクトリア・ブルゼニ=ピルゼンが、マッカビ(イスラエル)に敗れたものの、ELにエントリーしていたスパルタ・プラハ、スロバン・リヴェレンツ、ヤブロネツと揃って勝ち抜けを決めており、ここまで脱落者ゼロと手堅さは際立つ。

 チェコのUEFAカントリーランキングは15位。これはロシア、ウクライナを除く旧社会主義国の中では最上位。16位ルーマニア、20位クロアチア、21位にポーランドが続く。

 写真の新聞の日付22 DUBNA(四月)2014。

 ガンブリヌスリーガ第25節、不振にあえぐスラヴィアは、首位スパルタを追うヴィクトリア・プルゼニにホームながら2-0の完敗を喫した。プルゼニが勝利したこの試合にお目当ての“彼”は出場しておらず少々残念な気分に。チェコ一部リーグのネーミングライツは現在シノト(宝くじ運営企業)が契約。昨季まで長く愛された冠ガンブリヌスはビールの銘柄。

ビール飲酒量を競うワールドカップがあれば無敵

 日本国内で消費されているアルコールの半分以上はビール・発泡酒が占める割合となると筆者に限らずビール好きは国民性。キリンビール株式会社が発表した世界ビール消費量統計では、国民一人あたりに換算するとチェコがランキングの頂点に。

 実は20年以上首位をキープしており、王座を他国に譲る気配は微塵もないらしい。

 スタジアムでビール片手に熱い声援を贈るファン、サポーターも記録の一端を担う。日本人一人に対してチェコ人は三倍飲む換算になるが、日本の税率はチェコやドイツに比べ三倍どころか15倍以上高いので酒税を廃止すれば大逆転も夢ではないか?
妄想を膨らましたところで膨大な赤字累積をかかえる現状において減税などあり得ないのだが、EUが酒税値上げを検討した際ドイツとチェコが鼻息も荒く猛反発したのには納得する。

 ボヘミア地方のピルゼン(プルセニはドイツ語でピルゼンと発音)でのビール醸造は13世紀、ミュンヘンから醸造家を招いたことに始まる。英国のビールは硫酸塩が多く含まれる硬水を常温発酵させたエールビール。これに対してドイツは低温発酵のラガー製法。同じレシピでつくられたのがピルスナービール。ミュンヘンの重炭酸塩を多く含む硬水に比べピルゼンは軟水。水の違いが爽快な喉ごしを醸し現在日本のメーカー各社の商品もピルスナーの類。
 またボヘミアといえばガラス工芸。こちらもルドルフ二世が手厚く保護したため、黄金色の美しいビールはガラス器の視覚的な演出効果との相乗作用で世界へと拡がる。

 元祖『ピルスナーウルクェル』は世界のビール通にとって楽欲の一瓶。ガンブリヌスの需要が国内に対して、ウルクェルは国外向けブランド。ところでウルクェルに限らず輸入ビールは味わいが微妙に異なる。過酷な条件での輸送、保管で本来の風味を保つのはやはり難しいようだ。また栓抜きいらずの缶ビールは旅行者には軽便で好まれるが、チェコの店頭で見つけるのは意外に困難。写真はお隣スロバキア滞在時にスタジアムで撮影したもの。後に引かない苦味が絶妙。

欧州の舞台で元Jリーガー大活躍

 Jリーグ創世期、チェコに先鞭をつけたのはパヴェルを獲得した東日本JR古河電工。その後サンフレッチェ広島が90年W杯にも出場したハシェックを獲得。そのハシェックが監督、パヴェルがコーチを務めるヴィッセル神戸に2004年ホルヴィは招かれた。低迷する当時の神戸はJ2降格、ホルヴィは2シーズンを日本で過ごすと古巣スパルタが用意した契約書に握ったペンの先を走らせた。

 1975年生まれのホルヴィはJリーグが開幕した1993年にプロデビュー。しかし当時からスパルタ・プラハは国内最強。出場機会を求めてヤブロネツへ移籍。そこで実績を残しもう一つのトップクラブ、スラヴィアに移籍するとチェコ代表にも招集された。
 ポルトガル、トルコを経て母国のテプリツェに帰還した“パヴェル・ホルヴァト”の名前を初めて目にしたのは2003-04シーズンのUEFA杯トーナメント1回戦のスタッツ。小野伸二を攻撃の要とするフェイノールトロッテルダム(01-02季同杯ウィナー)がまさかの一回戦敗退。1stレグで試合開始から僅か2分後退場者を出したフェイエノールトはデ・カイプで0-2の敗戦。小野も前半でベンチに退いているが、この時テプリツェの10番、キャプテンマークを巻いていたその人こそ懐かしくもそれ程若くないホルヴィである。

About the Author:

Yoshitaka Yokozawa
1964年生 / 東京都在住 NPO・NGOの経験を活かしてサッカルチャー・チャアマンをしてます。 本業は国際交流コンサルタント。文化催事の企画運営や講演など欧州と国内をころげまわってます。 サッカルチャーコラム連載では欧州蹴球文化探訪(全41回) 同ベルギーの光と闇(全27回)※最終話そのうちUPします。 長靴の国で観た異邦人たち(全21話) サッカルチャー・ホームタウン秘書室(2017年~ 同 日本人が知らないアーセナル 全8回含)他。 サッカルチャーやっててよかったのはバルセロナで故ヨハン・クライフに逢えたこと。世界各国の”秘書たち”とビールを飲むのもささやかな楽しみ。

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