サンフレッチェ広島が第2S優勝&年間1位~最多得点・最少失点によるフェアプレーは4連覇の偉業

 11月22日の日曜日、明治安田生命J1リーグ第2ステージ最終節が行われた。第2ステージと年間順位の両方で最終節を首位で迎えたサンフレッチェ広島はチケット完売の本拠地エディオン・スタジアム広島に湘南ベルマーレを迎えて5-0と大勝。第2ステージの優勝と年間勝点1位の座を手にし、明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ決勝への出場権を獲得した。広島の年間勝点1位は2012年に森保一・現監督が就任してから4年間で3度目。

 絶対的な強さだった。両ステージ合わせて34試合で73得点と30失点はリーグ最多得点・最少失点。さらにJ1リーグが18チーム制のホーム&アウェイ戦による年間総当たり2回戦制度になった2005年以降の年間勝点では史上最高となる74ポイントという記録まで樹立。その上で、森保監督体制になってからはフェアプレーランキングでも4年連覇を達成している。文句のつけようのないない成績以上のプレー内容と戦い方による最良のプレーイメージだ。

主力選手の度重なる流出、名将との別れ、資本金の大幅減資

 2012年と2013年にJ1リーグを連覇した広島は昨季をリーグ8位で終え、その上で広島独自のシステム<3-4-2-1>の2シャドーのポジションで絶対的な存在として連覇に貢献したMF高萩洋次郎とFW石原直樹が退団。高萩は昨年のACL王者・豪州のウエスタン・シドニー・ワンダーランズ(その後、韓国のFCソウルへ移籍)、石原は浦和レッズへと共に契約満了による移籍となり、後釜を獲得するための資金もないままの強化策を強いられる厳しい台所事情にあった。・・・外部の視点では。

 そもそも広島は2012年のリーグ優勝時も現在のように主力選手が退団し続けており、ある識者からは降格候補にも挙げられる程だった。前年の2011年シーズン終了後はサポーターにとっては辛い時期だったはずだ。クラブは6年シーズンに渡って指揮を執ったミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現・浦和レッズ監督)との契約延長を断念し、チーム最多得点を挙げていた当時の日本代表FW李忠成(現・浦和)もイングランドのサウサンプトンへ海外移籍して退団。さらに、チーム生え抜きのレジェンドである左WB服部公太やDF/FW盛田剛平(現・ヴァンフォーレ甲府)等、ベテラン選手との契約も延長せず。いや、出来なかった。

 Jリーグが2012年シーズンから導入するクラブライセンス制度(債務超過や3年連続の赤字経営があった場合はライセンスの剥奪措置を受ける可能性あり)により、広島は財務健全化のため、苦肉の策となる資本金の減資手続きを行ったのだ。過去19年で20億円を超える累積赤字があったため、クラブの資本金21億円の99%を累積赤字解消にあてた広島の資本金は21億1005万円から2億2030万500円に大幅に減資されていた。

 そもそも、この減資手続きが行わる以前の2009年オフにMF柏木陽介(現・浦和)、2010年オフにDF槙野智章(現・浦和)など、主力選手の流出が続いていた。2011年のFW李に続き、2012年オフにはDF森脇良太(現・浦和)、2013年オフにはGK西川周作(現・浦和)。そして、昨年オフにはMF高萩、FW石原に続き、DFファン・ソッコ(現・鹿島アントラーズ)まで引き抜かれていた。

森保監督の就任がさらなる転機に 外国籍監督が残したモノを”日本的解釈”して踏襲

 しかし、この複雑極まりないクラブ事情を深く理解したクラブOBの森保監督の就任が転機となった。森保監督は前年までの2年間をアルビレックス新潟のコーチとして指導していたDF千葉和彦を引き抜いたように、現場とフロントがより一層一体となったピンポイント補強で的確なチーム編成網を敷いる事に成功。また、ペトロヴィッチ監督は長期政権で自ら育てた選手を重用する傾向があった部分も解消された。

 もちろん、ぺトロヴィッチ監督下でのコーチ経験もある森保監督はスタイルの継承は前提として、日本人のクラブ初のOB監督として“日本的解釈(Jリーグ的解釈)”した事で足りない部分を注入。スチュアート・バクスターの組織的なサッカーやエディ・トムソンの現実的なサッカーなど、これまでは外国籍監督が多かったクラブに、彼等が残して行ったモノを全て踏襲したとも言える。クラブの歴史を知る“レジェンド”だからこそ成せる業だ。

 もちろん、クラブ独自の戦術やシステムの継承が出来るのは、現在もトップチームに在籍する森崎兄弟(和幸・浩司)を筆頭に、現在もクラブ期待のホープであるU22日本代表のMF野津田岳人、他チームで活躍する駒野友一(現・ジュビロ磐田)や柏木、槙野、高萩といった日本代表選手を輩出し続けている日本屈指の下部組織の充実あってこそ。その上で、現チーム主将のMF青山敏弘や今季途中出場からのゴールがリーグ最多となる8得点を挙げたFW浅野拓磨など高校卒業から加入した選手も大事に育て上げた。下部組織出身かどうかに関わらず、チーム生え抜きの選手が多いのが広島の特徴だ。

 そして、DF塩谷司やMF柴崎晃誠などは加入2年目からフィットしたように、広島独自のチーム戦術へのフィットは難解ながらも、その“適応期間”を設ける事で彼等のポジションの先輩(森脇・高萩)の退団を前提に備えるよう調整する事で活かして来た。

 リーグ優勝・連覇を果たしても主力選手が海外だけでなく、国内のクラブに”ステップアップ”と呼ばれる移籍で流出してしまう。このような制約のあるクラブが4年間で3度も年間最多勝点を獲得しているのはJリーグ全体としての見解に置いては、2ステージ制の是非以上に決して健全とは言えない。しかし、有力選手の海外移籍が続く流れは止められないJリーグ全体の未来発展のための模範解答にはなるだろう。また、周囲に1時間圏内の新幹線移動で済むJ1クラブが存在しない地方クラブの代表として、サポーターが掲げる横断幕「キング・オブ・ローカル」の意味も含めて、サンフレッチェ優勝の意味は大きい。

 これはJリーグ歴史に置ける最大の快挙である!!