今季のJリーグアウォーズでベストヤングプレーヤー賞を受賞したのは、高卒3年目のサンフレッチェ広島FW浅野拓磨だった。

 プロ初ゴールも今季だった浅野はリーグ戦では全て途中出場からの得点だが8ゴールを記録した。8月に開催された東アジアカップの日本代表メンバーにも選出され代表キャップも付いた。クラブは明治安田生命J1リーグの第2ステージを制し、年間勝点1位となり、明治安田生命Jリーグチャンピンオンシップでも優勝した。FIFAクラブW杯でも世界4大陸の王者と対戦して3位にもなった。そんな激動と飛躍のシーズンだった。

 そんなシーズンの締めくくりとなった12月になって、浅野はさらなる進化を見せている。

 ガンバ大阪とのチャンピオンシップ第2戦での優勝へ導いたゴール、クラブW杯準々決勝・マゼンベ戦でのダメ押し弾、天皇杯準々決勝・FC東京戦での2ゴール。タイトルマッチ級のビッグゲームが続く過密日程下の12月に入って4得点した。しかも、その4得点は偶然なのか?全てが苦手なはずのヘディングからのモノだ。

浅野とサンフレッチェのさらなる”進化”が逆転勝ちを生む

 浅野は今季のベストヤングプレーヤー賞に輝いたものの、リーグ戦での先発出場は第1ステージの第2節を最後にない、僅か2試合だった。

 毎試合のように60分前後で交代する「佐藤→浅野への必勝リレー」で湧かせたものの、その実は1トップとしてポストプレーを始めとする先発出場するための幅の広いプレーが出来ないためでもあった。ただ、それが出来ないなら、自分のストロングポイントを強烈に引き出す事に特化することに徹した結果が、この必勝リレーであり、成果はベストヤングプレーヤー賞として高く評価された。

 しかし、ここに来て苦手にしていたヘディングで得点を決め続けたり、カウンターではない展開から強烈なミドルシュートを放つ場面も出て来た。ポストプレーでも柔軟に中盤と絡めるようになり、同時に昨年から起用されていたシャドーの位置でも機能し始めた。するとサンフレッチェもチームとして逆転勝ちが増え続けた。CS決勝の2試合やクラブW杯3位決定戦、天皇杯準々決勝でもサンフレッチェは先制点を奪われる苦しい試合展開だった。

 これまではチームが先制したり、同点の場面で浅野がピッチに登場し、相手が得点を狙って前がかりになった時に浅野のスピードを活かすというシンプルな試合展開でこそ持ち味を発揮してきたが、現在の浅野は引いた相手に対して得点を奪えるようになって来た。浅野もチームもここに来てさらなる“進化”を見せつけているのだ。

 世界を経験したサンフレッチェと浅野拓磨がタクマしくなって来た。