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サッカーの愛憎劇も無関心からは生まれない ~バルセロナVSバイエルン

 6泊8日のオランダ旅行から日本へ帰国しました。現地オランダの首都・アムステルダムで滞在し、各地の観光はもちろん、ロッテルダムの通称“デ・カイプ”と言われるフェイノールト・シュタデイオンで開催されたKNVBカップ決勝、ズヴォレVSフローニンヘンの試合を現地観戦しました。

現地の写真も掲載したレポートは以下の通りです。

【現地レポート】オランダ杯勝、攻撃には攻撃で跳ね返したフローニンヘンが創設94年目での初タイトル

 しかし、それとは別のサッカー観戦も楽しみにしておりました。それは5月6日の水曜日に開催された欧州チャンピオンズリーグ準決勝第1レグ、スペインのバルセロナのカンプ・ノウで行われたバルセロナVSバイエルン・ミュンヘンの試合。これを現地バルセロナではなく、オランダのスポーツバルで観戦する事に目的がありました。

 バイエルン・ミュンヘンのジョゼップ・グアルデイオラ監督はバルセロナで選手として11年間プレーし、主将も務めたレジェンド。選手としてリーグ優勝6回と1992年のチャンピオンズリーグにも優勝しています。そして、それ以上に37歳で就任した監督としても2008年から2012年までの4年間の指揮でリーグ3連覇やCLでも2度の優勝など、参加した19の大会で14(リーグ3回、コパ・デルレイ2回、CL2回、スペインスーパーカップ3回、欧州スーパーカップ2回、クラブW杯2回)のタイトルを獲得。選手としても監督としてもクラブ歴史に残る人物です。

 その“ペップ”ことグアルディオラが2012年の監督退任後、初めてカンプ・ノウへ対戦相手として凱旋する試合でしたから注目すべき試合でした。

 また、サッカーの内容から言っても注目点がありました。

バルサとマドリーの同化 ”MSN”と”BBC”の個人技頼り

 ペップ退任後は黄金時代の主力選手の影になってしまった優秀な若手選手が流出したり、その黄金時代の選手も“加齢”により、クラブ伝統の“華麗”なポゼッションサッカーも披露できなくなってきました。そこで、バルサは昨季からブラジル代表FWネイマール(N)、今季からウルグアイ代表FWルイス・スアレス(S)を加入させ、エースのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(M)と共に南米強豪国のエースで組む3トップを形成。中盤を経由せず、南米産のタレントの個人技を活かすために、縦への速さを重視。その3トップはレアル・マドリーのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(C)、フランス代表FWカリム・ベンゼマ(B)、ウェールズ代表FWギャレス・ベイル(B)の頭文字を合わせた“BBC”同様に、“MSN”と名付けられ、チームのプレースタイルも絶対に宿敵の真似だけはしないと思われたバルサが、マドリーと同じようなサッカーを見せています。

 確かに現在のバルサはリーグ首位で、CLはベスト4進出、コパは決勝進出と3冠を狙える結果は残していますが、そのサッカーの内容から「3冠獲っても監督は解任」とも言われるほど。実際に1997年には就任1年目でコパ・デルレイとカップウィナーズカップ(現在のヨーロッパリーグ統合)の2冠を獲得したサー・ボビー・ロブソンは「戦術がロナウド」というブラジル代表FW1人に頼ったサッカーの内容を批判されて1年で退任。同年のスペインリーグ優勝を果たしていたレアル・マドリーでも就任1年目だったファビオ・カペッロが守備的なサッカーから批判の対象となって1年で解任に。カペッロは2007年にもマドリーの監督に就任して再び1年目にリーグ優勝しながら、同様の内容で解任されました。コレはJリーグでは考えられない事かもしれませんが、それを問うぐらいの議論があっても良いと思います。特に3冠王者と名乗っているクラブのサッカーはクラブ伝統のサッカーではないですから。

バイエルンの”バルサ化” 96試合ぶりにポゼッション率で敗るも

 そんなバルサとは反対に、ペップを招聘したバイエルンがバルサのようなボール支配率70%を越えるポゼッションサッカーをしているのも興味深いポイントです。
スタイルとは監督が作るモノなのか?
その時の選手が作るモノなのか?
いや、クラブに伝統として根付いているモノなのか?
それとも時代によって変化していくのか?
そんな壮大な解答のヒントとなる対決です。