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ぷら~り 欧州蹴球場百景【53】ラインエネルギーシュタディオン / ケルン

ドイツと云えばビール。ビールと云えばドイツ。16連邦州の中で最大の人口数を誇るのがノルトライン=ヴェストファーレン州。州都デュッセルドルフ以外にも、ケルン、ドルトムント、デュイスブルグと大都市が犇く。
あづ紗さんが手にした小瓶はケーニッヒ・ピルスナー。王を意味するその名のまんま、ラベルには王冠のデザイン。デュイスブルグの醸造所に始まり、現在は各国に輸入されているので日本でも比較的手に入り易い。
同じ州でもピルスナー(ラガーに含まれる)のデュイスブルグから南に70キロ程移動すれば、ケルシュが味わえる。「蹴る酒」と変換ミスをすれば、フットボール通が好みそうなこのビールの製法はケルン地方ならでは。上面発酵の酵母を使用して下面発酵並み(10℃以下)に低温で熟成させているので、ピルスナーとエールの良い所どりの麦酒が出来上がる。


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中央駅前にそびえる荘厳なゴシック様式の大聖堂を前にして、シュタンゲと呼ばれる200mlの円柱グラスでケルシュを味わえる幸せ。最近では日本にもケルシュブランドのガッフェルが購入できるらしい。


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ケルンの名所ホーエンツォレルン橋。この写真が今回掲載した中ではイチ押し激レアなのだが、撮影時当時は想像だにしていない。
53景は1FCケルンの本拠地、こちらも日本のフットボールファンの間でお馴染みのラインエネルギーシュタディオン。

日本中が放心状態となった2014年ブラジル大会。グループ最下位、惨敗の中で見出した数少ない光明が、当時24歳の大迫勇也が露わにした悔しさだった。年齢的にピークを迎える次回ロシア大会、ロンドン五輪世代の香川真司と大迫の肩には国民の期待が圧し掛かった。

1860ミュンヘンで独二部デビューしてから半年で迎えたブラジル大会。終了後は念願の一部ケルンへと移籍して四年間を過ごした。二部で燻っていたケルンを昇格させたのは、前回に続き登場いただくペーター・シュテーガー。


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オーストリア国内を制覇したシュテーガーは、国境を北に越えた2013-14シーズン。小国の一部から大国の二部へ。ラインエネルギーシュタディオンは5万人のキャパシティ。ドルトムント就任時、センセーションと報道された程ではなくとも、クラブの規模と格=伝統を考えれば栄転に違いない。


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実はこのシーズン開幕ダッシュに失敗している。三節までドローが続き、漸く四節SVザントハウゼン戦で待ちに待った初白星。5節引き分けでこの時点での順位は10位。

ウィンターブレーク開けの20節、パーターボーン戦でユニバーシアード日本代表の長澤和輝が途中出場デビュー。27節は初スタメン翌28節では当時1860ミュンヘンに所属していた大迫との日本人対決も実現している。

19勝4敗11分、2節を残しての優勝と、ドイツでも就任一年目から確り結果を出した。ラインエネルギーシュタディオン集客数は年間合計78万人を超え、一試合平均でも46000人を記録している。


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筆者がケルンを初めて訪問したのは2009年。駅前から大聖堂の裏側には博物館が密集している。ローマ帝国時代に植民地として築かれたこの都市では至る所でローマ時代の痕跡に気づかされるが、聖堂に隣接しているのはローマ・ゲルマン博物館。考古学好きにはお薦め。


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ケルン工芸美術館は「ピカソからウィーホールまで」と題してマックス・エルンスト/ロイ・リヒテンシュタイン/ニキ・デ・サン・ファール※【三景】参照他計40人のアーティスト、150の彫刻、装(宝)飾品を展示。


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ヴァルラフ・リヒャルツ美術館では、「月」をテーマにエドワール・マネの 1869年作ブーローニュ港の月光(オルセー美術館所蔵)や1969年アポロ11号宇宙飛行士、月面着陸の写真を見た記憶が蘇るかと思いきや、まったく思い出せないから脳の老化は否めない。

ケルンでこの写真を撮影したのは6月25日。目を覚ますとTVはマイケル・ジャクソンン急死のニュース一色、世界中で追悼セレモニーが催されたので、これだけは忘れようがない。


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前回も述べたとおり、シュテーガーのチームづくりは選手ありきで、戦術的に目を見張るものはない。奪われるリスクを制限し、ミスを最小限に抑えようと考えるタイプ。頑強な守備陣形で構えて、落ち着いて組み立てるスタイルを貫きケルンを欧州戦線にまで引き上げた。これはドルトムントの前任者ピーター・ボスが高めのラインで前からハイプレスをかけるスタイルと対照的。

一方オーストリアでは二年目のロジャー・シュミット率いるレッドブル・ザルツブルグが猛威を振るった。独特のハイプレッシング戦術は、ラングニックとグロース直伝。彼らのコンセプトからすれば、自陣深い位置でリトリートからバックパスを選択する方が遥にリスキーな行為となる。

そして2014-15シーズン、ケルンの昇格とレバークーゼンからの招聘、ピッチ上でペーター・シュテーガーとロジャー・シュミットは1年半ぶりに再会。ピッチサイドで対峙する両者への注目度は格段に上がっていた。


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ドイツ・ブンデスリーガ13節 2014年11月29日
試合の映像で見覚えのある横顔はケルンに加入したドゥサン・スベント。かつてシュミットが左サイドバックを任せたスロバキア代表は本来サイドハーフ。中盤にを厚みを持たせ、守備はリトリートで凌ぐシュテーガーの意図が読み取れる配置。終わってみればレバークーゼンが65%とボール支配率で圧倒する。後半逆転されると最終ラインを削り前線に大迫を投入したシュテーガー、更にセンターバックを一枚下げ、前に人数を割いてしまえば、手薄となった所を突かれてダメ押し弾を喰らうのは当然。終了間際にも2失点。シュート数はレバークーゼンの15に対しケルンは僅か3本。この時点で3位をキープするレバークーゼンに格の違いを見せつけられる羽目に。一躍時代の寵児と持て囃されたシュミット。


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2015年4月25日 観衆は 4万5千600 人。
ホームで雪辱を狙うシュテーガーは4-4-2を採用しアンソニー・ウジャと大迫のツートップで雪辱を誓う。前半は0-0で折り返し。均衡が破れたのは後半15分。ユリアン・ブラントのゴールで先制したのはレバークーゼン。しかしアクシデント発生。キリアコス・パパドプーロスの負傷で3枚目のカードをきる大誤算。逆に我慢し続けたシュテーガーが、一気にゲームの流れを手繰り寄せにかかる。67分左サイドを入れ替えると、主将ブレチュコを下げて3トップ、更にマティアス・レーマンを長澤に代えて中盤の活性化を図る采配が実を結ぶ。83分途中出場のフィネが同点ゴール。その後スコアは動かず結末はドロー。それでもポゼッションで55%と上回り、シュート数を比べてもレバークーゼン5に対しケルンは倍の10本。このゲームでケルンが得た手応えと自信はけして小さくはない。

あづ沙さんが持つストラップはUEFAヨーロッパリーグ(EL)E取材時にプレスチケットと一緒に渡された品。


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昨季ブンデスリーガでは低迷、降格したケルンではあるがELでは大迫がベラルーシ王者から2ゴールを奪い、アーセナル戦もフル出場し勝利に貢献。ロシアでの大迫は、四年前とは比較にならない程自信に溢れ、披露したプレーからは余裕すら感じられた。スタイルの異なる国のビッククラブに国際試合で勝利した経験はやはり大きい。香川同様、ケルンで大迫を指導したサムライブルー陰の功労者は、故郷ウィーンからロシアでの雄姿に眼鏡の下で目を細めていたのだろうか。笑福亭笑瓶似のウィナーを招聘するクラブはこの夏まだ現れていない。


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さて、2022年カタール大会。前回の大迫同様、悔しさを糧に成長が期待されるのはサポートメンバーとしてロシアを経験したリオ五輪世代の浅野拓磨。井手口陽介はリーズからの要請で同行できなかった。

2014年の南アフリカ大会時には予備登録する程、ザッケローニはU19代表(当時)南野拓巳の才能を買っていた。アウェーゴール差で、レッドスターの前に涙を飲んだが、EL=マドリッドへの道が残されている。

四大会連続のアジア予選敗退で世界に届かなかった世代。12年組では久保裕也、遠藤航、植田直通、14年組は関根貴大、奥川雅也、そして南野、井手口が既に欧州を戦場に選び、更に東京五輪組で切磋琢磨する堂安律に冨安健洋。


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カタール大会の主軸を担うであろうリオ五輪世代が、アジア予選に挑む収穫の時は2021年。
何処の国のリーグ、何処の都市のクラブでプレーするのか以上に、伸ばしてくれる指導者と巡り会えるのかが将来を左右する。フットボールに限らす人との出逢いで人生が変わるのは洋の東西を問わず。

最後に2009年から9年の歳月を経た現在のホーエンツォレルン橋。ケルン出身のバンドHöhnerが2009年に発表した(曲の)プロモーションビデオの影響で大ブーム。実り過ぎて少々気持ち悪い。【五十三景了】

文/撮影:横澤悦孝 モデル:森川あづ紗

By | 2018-08-30T22:53:52+00:00 8月 30th, 2018|Categories: Soccerlture League, コラム, 未分類|0 Comments

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Yoshitaka Yokozawa
1964年生 / 東京都在住 NPO・NGOの経験を活かしてサッカルチャー・チャアマンをしてます。 本業は国際交流コンサルタント。文化催事の企画運営や講演など欧州と国内をころげまわってます。 サッカルチャーコラム連載では欧州蹴球文化探訪(全41回) 同ベルギーの光と闇(全27回)※最終話そのうちUPします。 長靴の国で観た異邦人たち(全21話) サッカルチャー・ホームタウン秘書室(2017年~ 同 日本人が知らないアーセナル 全8回含)他。 サッカルチャーやっててよかったのはバルセロナで故ヨハン・クライフに逢えたこと。世界各国の”秘書たち”とビールを飲むのもささやかな楽しみ。

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