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欧州蹴球文化探訪 第二十七の巻 五輪開催&欧州制覇は一昔前、今やアテネ大炎上

 ポルトガル開催の欧州選手権ではホスト国を破って優勝、直後にオリンピック開催で意気揚々の首都アテネ。ゆずが歌う「栄光の架橋」のメロディーに、活気溢れたアテネが思い起こされる十一年前。しかし前回の五輪の開催時。ロンドン橋どころか全てが落ちていたのはギリシャだった。

パナシナイコスーブルージュ戦

 混迷が続くギリシャへの肩入れもあり、パナシナイコスと昨季ヨーロッパリーグベスト4の強敵クラブ・ブルージュの対戦がいささか気になる。UEFAクラブランキングでパナシナイコス121位。対するブルージュは44位。群雄割拠&常時下剋上の欧州においてこの程度の差は無に等しい。3回戦は大きな分岐点。

 要注意の危険人物はブルージュの背番号7ビクトール・バスケス。バルセロナ生まれのカタールニア人は、メッシやピケ、セスク達黄金世代の一人。2011年からブルージュで攻撃のタクトを振るっている。12年のSPORTVOTETBAL誌9月19日号の表紙は彼なのでコースター代わりにして、昼間からベルギービールで喉を潤し準備万端。PCの映像に被りつく。

 7月29日1stレグはアウェーのブルージュが10分先制。決めたのはボリ・ボリンゴリ・ムボンボ(20歳)。近年若手の成長が目覚ましいベルギー。彼は代表FWロメオ・ルカクの従弟にあたるらしい。
 パナシナイコスにPKが与えられたがマルクス・ベリは痛恨の失敗。

 37分ベリの汚名を挽回するゴールでパナシナイコスが追いつくものの前半終了直前ディアビへのファウルでセルジオ・サンチェスが一発退場。後半を10人で戦う圧倒的不利な状況に飲みすぎたのか頭も胃も痛い。
 この危機を救ったのが若きギリシャ代表ストライカー、ニコラオス・ケレリス。絶対外せないプレッシャーの中、PKを決めホームでパナシナイコスは勝利をもぎ取った。落書き(グラフティ)だらけのスタジアムで狂喜乱舞するサポーターの姿が目に浮かぶ。

 8月6日ヤンブレイデルスタディオンでの2ndレグ。前半はスコアレス、後半早々にゲームは動く。53分左からのクロスをコールズが頭で叩きこんで(2試合を通じて)追いついた。僅か5分後フリーキックのチャンス。
 キッカーはバスケス。振り抜いた右足から放たれたボールは壁=DFの肩にふれ軌道が変わる。一歩も動けないGKの右側にすい込まれた。外せ外せ!と念を送るがベルギーには届かなかったようでその後1点を追加したブルージュがプレーオフに進出。抽選の結果相手は、あのマンチェスターユナイテッド。

見憶えのあるパナイシナイコス指揮官

 カメラが映し出す渋い表情のパナシナイコス監督はイオアニス・アナスタシウ。

 ローダJCからギリシャ代表のストライカーがアヤックスに移籍してきたのは2004年の2月。当時のアヤックスは、ロナルド・クーマン監督(現サウサンプトン監督)が指揮を執っていた。
 絶対的エースのズラタン・イブラヒモビッチは、まだユベントスに移籍していない。その後2005年当時32歳のアナスタシウをフロントは放出する予定でいたのだが、クーマンに変わり指揮を執るダニー・ブリント(現オランダ代表監督)が直談判。若手への影響力を買われて契約を延長したエピソードを持つ人格者は、引退後アヤックスで若手を指導していた時期もある。

 2013年FC東京から梶山陽平がレンタル移籍したパナシナイコスは、シーズン中三度も監督が交代するほど混迷の真っただ中にあり、最終順位も同都市のライバル、オリンピアコスに大きく引き離された屈辱的な6位。1997年以来続いていたUEFAコンペティション出場が途絶え、ギリシャ政府の財政悪化も背景にあって、ファンやサポーターの憤懣は堪えない。

 ギリシャのスーパーリーグは、アテネの三強オリンピアコス、パナシナイコス、AEKアテネの時代が長く続いていたのだが、このシーズンにはAEKアテネが経営破綻。13-14シーズンは三部に降格しており、戦力の低下をどうにか最小限にとどめ、三シーズンぶりにスーパーリーグに復帰したのが今シーズン。

 2001年にユーロ紙幣が導入されたギリシャ。第二の巻で当時のドイツとイタリア経済の分岐について触れたが、ギリシャもこの新たなシステムの影響もあり政府債務が増えるなか、2010年総額1100億ユーロの第一次金融支援が実施された。

 海外でのスタジアム観戦を基本的には薦める筆者が、最も観戦を反対するのがアテネダービー、パナシナイコス対オリンピアコス戦。サポーターの乱入、発煙筒をはじめ、瓶やライター、硬貨など有りと有らゆる物が頭上宙を舞う。
 一昨季のパナシナイコスのホームゲームも凄まじかったが、輪をかけて本年3月2日のオリンピアコスのホームは、さながら地獄絵図の様相。三点を奪われると激憤にかられたオリンピアコスのサポーターが暴走。結果警官隊が催涙ガスで沈静化を図り、逮捕者は二桁に上る。このパナシナイコス戦のペナルティとして3月15日のホームゲームは無観客試合に。本来優勝杯を共に掲げ歓喜を共有すべきスタンドが無人くん。静寂につつまれ消費者金融のCMソングが頭に浮かびそうな虚しい光景に。

About the Author:

Yoshitaka Yokozawa
1964年生 / 東京都在住 NPO・NGOの経験を活かしてサッカルチャー・チャアマンをしてます。 本業は国際交流コンサルタント。文化催事の企画運営や講演など欧州と国内をころげまわってます。 サッカルチャーコラム連載では欧州蹴球文化探訪(全41回) 同ベルギーの光と闇(全27回)※最終話そのうちUPします。 長靴の国で観た異邦人たち(全21話) サッカルチャー・ホームタウン秘書室(2017年~ 同 日本人が知らないアーセナル 全8回含)他。 サッカルチャーやっててよかったのはバルセロナで故ヨハン・クライフに逢えたこと。世界各国の”秘書たち”とビールを飲むのもささやかな楽しみ。

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