Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/orfool/soccerlture.com/public_html/wp/wp-includes/post-template.php on line 293

Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/orfool/soccerlture.com/public_html/wp/wp-includes/post-template.php on line 294
no-image

FA杯2連覇を狙うアーセナル~成熟したコクランに注目【マッチプレビュー】

 聖地・ウェンブリースタジアムでの決勝にヴェンゲル監督が選択したのは、最前線にはチームの軸として活躍する長身のフランス代表FWオリヴィエ・ジルーではなく、ウォルコットを先発に抜擢。その他は終盤戦に固定したメンバー選考で臨む<4-2-3-1>でスタート。GKはリーグ戦後半戦で安定感のあるプレーで躍進に貢献したコロンビア代表GKダヴィド・オスピナではなく、シーズン途中に控えに降格したポーランド代表GKヴォイチェフ・シュチェスニーが入りました。アストンヴィラの方はリーグ戦13ゴールを記録したFWベンテケを最前線に置く<4-1-4-1>で格上のアーセナル相手に専守防衛策で挑んで来ました。

 試合の序盤は両チーム共にシュートすらないような慎重な立ち上がり。アストンヴィラの分厚い中盤に対してアーセナル自慢の技巧派MF陣が自由なプレーは出来ていませんでした。そこでアーセナルは高さのジルーではなく、速さのウォルコットを最前線で使った意図を感じさせました。アストンヴィラのDFラインが低く構えるのではなく高く設定する事で、DFライン裏にウォルコットを走らせました。深さを取ったアーセナルは次第にボールを収めて高い位置でキープし、両SBも高い位置を取った分厚い攻撃を仕掛け始めました。

 15分にはセットプレーの流れからFWアレクシス・サンチェスが左からクロス。ゴール前に残っていたDFローラン・コシールニーがフリーで放ったヘディングシュートが相手GKの好守に防がれたものの、17分にはウサイン・ボルトよりも40m走が速いと話題になった20歳の右SBエクトル・ベジェリンが攻撃参加。粘ってゴールライン際を突破してのグランダークロスにゴール前に走り込んできたMFアーロン・ラムジーがニアで点で合わせるも外れ、その後もラムジーがパスワークから粘ってエリア内でシュートを放つ決定機も。

 アーセナルは左サイドへトップ下のドイツ代表MFメスト・エジルが流れる事で、ボランチのスペイン代表MFサンティ・カソルラや、チリ代表のFWアレクシス・サンチェス、1テンポ遅れてサイドを駆け上がる左SBナチョ・モンレアルが密集してチャンスメイク。特に24分にモンレアル→カソルラ→エジルがエリア付近で細かいパスワークから突破してウォルコットへ送ったラストパスという一連の攻撃は華麗でした。また、ゴール前へ右ウイングで出場しているラムジーが入って行くため、右サイドからはベジェリンが1人で大きなスペースを駆け上がるなど左右でアクセントの違う攻撃を仕掛けてバリエーションを出しました。

 そして40分、アーセナルは後方にいたMFフランシス・コクランが右サイドからサイドチェンジのパスを左サイドへ開いたウォルコットへ。前を向いたウォルコットの外側をオーヴァ―ラップしたモンレアルへ展開し、ファーサイドへの大きなクロスを供給するとサンチェスが頭でエリア内にボールを落とす。これに起点を作ったウォルコットが自ら入って来て左足ボレーシュート。独特のタイミングで蹴り込んだシュートにDF2人とGKが全く反応できずにアーセナルが待望の先制を奪って1-0とリードして前半を折り返しました。

余裕の試合運びを見せて追加点 隙さえ見せない完璧な王者

 前半は圧倒的に押し込みながら決定機をモノにできない試合展開となりましたが、アーセナルは昨年の今大会決勝で開始8分間で2失点するなどしたドタバタ劇とは裏腹に、その経験により精神的に余裕が生まれ、得点できなくても落ちついた試合運びを見せました。まさに「王者の風格」を感じさせた王者は前半終了間際の先制点を活かして後半も余裕の試合運びを見せました。

 アストンヴィラが後半開始から選手交代もせずにスタートしたため序盤は動きがなかったものの、50分にアーセナルが個人技からスコアを動かします。中盤でのルーズボールが左サイドへ流れてアーセナルのFWサンチェスが拾うと、サンチェスの外側を駆け上がったモンレアルの動きにDF2人が一瞬釣られ、その隙を逃さなかったサンチェスがミドルレンジから右足を一閃。無回転でGKの頭上から落ちる豪快なシュートが決まってアーセナルが2-0とする追加点に。

 すると後がないアストンヴィラのシャーウッド監督が選手交代に動くも、前掛かりになった相手の裏を突き、ウォルコットの快速を活かしたカウンターから決定機を量産するアーセナル。62分には右CKからカソルラが蹴ったアウトスイングのボールに相手の甘いマークを外したペア・メルテザッカーが教科書通りの叩きつけるヘディングシュートを決めて3-0に。

 さすがにこの失点で意気消沈したアストンヴィラのモチベーションに合わせて運動量が落ちたアーセナル。それでもこの日は先発を外されてアピールしたいジルーと、終盤戦になって復調したイングランド代表MFジャック・ウィルシャーを同時に投入して集中力とエンジンを切らさないベンチワークで対応。さらに終盤には負傷明けのオックスレイド・チェンバレンも投入。93分には右サイドからウィルシャーとチェンバレンが絡んで突破し、グランダークロスにジルーが合わせて途中出場の3人で4点目をゲット。そのまま4-0でタイムアップのホイッスル。

 90分通して相手に全く隙を見せない「王者の貫録」と言える戦いぶりで完勝したアーセナルが今大会2連覇を達成し、大会最多の12度目の優勝を果たしました。

リヴァプールやドルトムントの失敗に ヴェンゲル監督の偉大さを感じさせる1年